20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2008-10-03)
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これも邦題が痛い。日本の配給会社の皆さん、どうかよろしくお願いします・・・。
BREACHとは、守秘義務の違反、侵害、または裏切りという意味もある。邦題は、たしかに主人公のことをそのまま表しているが、あまりに直球過ぎて、映画のタイトルとして成立していない感じ。
内容は、FBIのベテラン・エージェント、ロバート・ハンセンが20年以上、ソ連とロシアに機密情報を漏洩し続けてきた実話を描いている。実話をベースにした映画というのは、実話ならではの迫力を持っている一方で、どうしても実話から大きく逸脱できないという脚色上の限界を抱えている。本作も、どうしてもそうした限界を感じざるを得ないところがあった。
それにしても感じたのは、この人が信じていたのは何だったのかということ。たぶん、神の教えを装った人の教えだったのだろう。誰でも人の教えを100%信じ込む人はいない。しかし神様の教えを100%信じる人はいる。そして神様の教えを装った人の教えを100%信じ込んでしまう人もいるようだ。
神様の教えと、神様の教えを装った人の教えを識別することは難しいようで簡単だ。それは、聖書から逸脱しているかどうかということだろう。この映画には聖書が出てこない。宗教本のようなものは出てくるが、聖書が出てこない。こういう宗教本にはカルトっぽいものもあるから注意が必要だ。本作の主人公の姿を見ていると、この人がそういうものに心を操られていたのではないかと感じた。
一方、そもそも最初から神様なんかに関わらないで、生きていったほうが健全だという意見もあるだろう。しかし、人が本当の神様を知らないまま、人生を最後まで生き抜いていくことは難しい。それはさまざまな逆境や、とくに病気などで死に直面したときに、具体的に明らかになる。また、別に試練がないときでも、人は自分よりも強いもの、絶対的なものに心を惹き寄せられる性質を持っている。だから、本物の神様を知らないと、ヘンなものに引っかかってしまうリスクに絶えずさらされることになる。
こうした人間の本能的な性質は、人がもともと神様と一緒に生きていくのが本来の姿だということを示しているように思うのだが、だからこそ正しく神様に結びつくための羅針盤が必要になるだろう。そして、その羅針盤は聖書ではないかと思う。本作を観て、そんなことも感じました。