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この映画が出るまで、おそらく多くの人は、この英国王の存在すら知らなかったのではないだろうか。主人公は、現在の英国王エリザベス2世のお父さん、ジョージ6世である。
もともと、このジョージ6世の父親、つまり現在のエリザベス女王から見てお爺さんに当たるジョージ5世には二人の息子がいて、長男が後のエドワード8世、次男が本作主人公のジョージ6世だった。お爺さんのジョージ5世が崩御した後、長男のエドワード8世が王位に就いたのだが、かねてより交際していた人妻シンプソン夫人との交際を断ちきれず、王位を放棄して、この恋人との結婚を優先したことで、王位が次男のジョージ6世に回ってくる。
ジョージ6世は、もともと体質も虚弱、性格も内向的で、生来ひどいドモリ(吃音)だったのだが、王位が回ってきたことで、人前で話をする機会が格段に増える。折からの第二次世界大戦の激化により、ドイツへの宣戦布告に際して、イギリス本土への攻撃激化に備えて国運を左右する決定的なスピーチをしなければならなくなり…。
ドモリの国王、ジョージ6世の演技(コリン・ファース)が素晴らしい。また彼を支える奥さん(のちのエリザベス皇太后、現女王の母親)のサポートも涙を誘う。吃音を治療する専門家のライオネル・ローグも、周囲から様々な誤解を受けつつも、国王を一人の人間として誠実に接する姿に心を打たれる。
ここ一番の重要なスピーチは、とにかく内容が素晴らしい。国王が、このスピーチに際して、どういう心の準備をしたのかということは、人が恐怖に打たれた時、どういう態度を取るべきかということの参考になるかもしれない。