月別アーカイブ: 2009年3月

ディパーテッド    Departed

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レオナルド・ディカプリオ、マット・デイモン、ジャック・ニコルソンの怪演ぶり(?)が、同時に見れる稀有な映画。

ジャック・ニコルソンはハリウッドの代表的怪優(??)なので、今さら驚かないが、ふだんは甘いマスクのディカプリオの怒りに歪んだ顔、ふだんは正義漢のマット・デイモンの嘘にまみれた憎たらしい顔は、あまり他の映画で観ることはできない。

覆面捜査官としてマフィア組織に潜入するディカプリオ、覆面マフィア(?)として警察組織に潜入するデイモンが正面対決。まわりをニコルソンやマーティン・シーンなどの名優ががっちり固める。マーティン・スコセッシ監督のハードでドライな秀作。

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ホテル・ルワンダ   Hotel Rwanda

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1994年の春、ルワンダで大虐殺が起きたとき、ヨーロッパではボスニア紛争、アフリカではソマリア紛争が同時並行的に起きていた。国際社会は、ボスニア紛争で資金とエネルギーを吸い取られ、ソマリア紛争で米軍兵士が虐殺されるのを目の当たりにして恐れをなし、ルワンダの惨状を見て見ぬふりをして、結果的に見捨ててしまった。

国際社会がルワンダを見捨てたことは、この映画の中心的テーマの一つであり、それでこの点に怒りを覚える人も少なくないかもしれない。しかし、人間は倫理感よりも欲望で動く存在であり、また自分の命を犠牲にして他人を救う能力など、誰も持っていない。このことは、戦争に行ったことがある人や、紛争国などで身に危険が迫る経験をした人など、似た体験をした人はよく知っているだろう。

その意味で、この映画の描きたかった真のポイントは、国際社会や白人はケシカランということではなく、人間というのは弱い存在だ、だからそのことを忘れて高ぶってはならないという高慢に対する警告だろう。その意味で、本作は観る人すべての心を突き刺す作品でもある。

ルワンダ虐殺を誠実に伝える映画としても優れているが、人間というものの弱さ、はかなさをリアルに描いている点でも秀逸。ドン・チードルが死体累々の中を這いずり回って帰宅した後、着替えをするなか、ネクタイを締めながら崩れて落ちてしまうシーンは心を打つ。

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バンテージ・ポイント  Vantage Point

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大統領の暗殺(未遂?)事件を、シークレットサービスのエージェント(デニス・クエイド)が解明していくという筋書き。あまり深いストーリー性はないが、事件の時間軸を何度も前後させて、少しずつ真実を明らかにしていくという手法が新鮮。

そして、このストーリーの構成、組み立て方が凝っており、大統領暗殺(未遂?)事件を、複数の登場人物の視点から並行的に描くことで、客観性の高い「事実」が、見る人によっていかようにも見えてしまうという、事実の主観性を描き出している。新しい手法の映画だ。

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