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2009年に、NFLのアメフト・チームにドラフトで指名入団したマイケル・オアーのエピソードを描いた実話に基づく作品。
夫はレストラン・チェーンのオーナー、自らもインテリア・デザイナーとして成功を収めるリー・アン(サンドラ・ブロック)は、ある晩、雨に濡れながら一人で夜道を歩くマイケル・オアー(クィントン・アーロン)を、車中から目にする。彼を放っておけなかったリー・アンは自宅に連れ帰り、マイケルの複雑な境遇を知ることとなる。一家は、マイケルの境遇と人柄を知るにつれ、彼をかけがいのない存在だと感じるようになり、マイケルを一家に迎え入れる決断を下す。マイケルは、新しい環境にも徐々に慣れ、高校でフットボールの才能を徐々に開花させていき…。
本作は実話に基づく作品ではあるが、映画としてストーリー構成や登場人物を巧みに使い、人間にとって最も大切なものは、生まれ育ちではなく、ましてやカネではなく、さらに頭の良さや運動神経でもなく、心の美しさだというメッセージを伝えようとしているようだ。ただし、キレイ事ではなく、単なる美談の次元を超えて、人を助けることの難しさについても、マイケルの過酷な境遇や、強者が弱者を助けるときに陥りがちな傲慢の危険性を通してリアルに描いている。
原作の「ブラインド・サイド」(死角、盲点)とは、アメフトの攻撃のかなめとなるクォーターバックの利き手と逆側の死角エリアを指す。通常、このエリアはオフェンシブ・タックルの担当となる。クォーターバックは、パスプレイの際に体を効き手側に開くため死角になりやすく、このブラインドサイドを守るオフェンシブ・タックルには、特に高い身体能力が求められるとされている。
言うまでもなく、マイケル・オアーは、このブラインドサイドを担当するオフェンシブ・タックルの選手。また、マイケルはリー・アン一家に助けてもらって幸せな人生を切り拓くことができたわけだが、リー・アン一家もマイケルを助けて、思わぬ「死角」に幸せがあったことに気付かされたわけだから、「しあわせの隠れ場所」という邦題は、なかなか考え抜かれたタイトルです…。