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デンジャラス・ラン  Safe House

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<あらすじ>南アフリカ・ケープタウン。諜報活動の最前線から遠く離れたこの地で、CIAの新米職員マット・ウェストンは隠れ家の管理という閑職に辟易していた。ある日、大物犯罪者が護送されてきた。

その男の名はトビン・フロスト(デンゼル・ワシントン)。元CIAの超エリート諜報員にして、今は国家機密を密売する危険人物として世界中から指名手配を受けていた。そんな時、隠れ家が武装した男たちに襲撃される。命からがらマットはフロストを連れ出すが…。(goo 映画より)

原題はSafe House、つまりCIAが外国で活動している際に、重要参考人などを一時的に秘密裏に拘束するために設けられた隠れ家、住居施設のこと。冒頭シーンは、このトビン・フロストをセーフハウスで尋問するシーンから始まるが、ストーリーの大半はフロストと、セーフハウス担当官の二人の逃避行が描かれているので、「デンジャラス・ラン」というのもうなずける。でも、Safe Houseという無機質な語感の原題の方が、本作の背筋が凍るようなサスペンスタッチを表していて、作品にフィットしている。

しかし、CIAというのは諜報機関のはずなのだけど、ここまで多くの映画に描かれるとは、さすがアメリカは民主主義の国と言わざるをえない。冒頭からリアルなウォーター・ボーディング(水責め)のシーンが出てくるなど、CIAはこんな感じでイラクでも活動していたのだなと、なんとも言えない感覚に襲われる。

伝説のエージェント、トビン・フロストを、新米のCIA職員が命からがら護送するのがストーリーの縦軸。一方で、CIAというのはスパイ機関だから、内と外に二重三重の騙し合いがあり、誰がまともで、誰が裏切り者なのかわからない心理戦が横軸になっている。この二つの伏線が微妙に絡み合いながらストーリーが進んでいく。

いろいろアクションシーンや、暴力シーン、心理戦などがたくさん出てくるのだけれど、一番怖いのはラストシーン。すごく微妙なので一回観ただけではよく分からないかもしれないが、よーく観るとマジで背筋が凍る。ある意味、どんでん返しでもある。人間不信にならないようにしたいものですw

マイ・ボディガード  Man on Fire

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<あらすじ>元CIAの特殊部隊員ジョン・クリーシー(デンゼル・ワシントン)。彼はこれまで、米軍の対テロ部隊に所属して16年に渡り暗殺の仕事を続けてきた。

そのためか心を閉ざし、生きる希望を見失っている。そんなクリーシーはある日、メキシコで護衛の仕事をしている部隊の先輩レイバーンから新しい仕事を請け負うことに。それは、誘拐事件が多発するメキシコ・シティに住む実業家の9歳になるいたいけな娘ピタ(ダコタ・ファニング)の“ボディガード”だった。さすがに始めはこの仕事に乗り気でなかったクリーシーも、ピタの無邪気な笑顔や素直なやさしさに触れるうちに心洗われていくのだが…。(allcinemaより)

なんとも言えない傑作。「なんとも言えない」と書いたのは、作品は最高に素晴らしいのだが、突っ込みどころが多すぎるから。

第一に、邦題、ダメすぎ。マイ・ボディガードとか、アホか。原題は、Man on Fire。炎の男とでも言うべきか。主役クリーシーを演じるデンゼル・ワシントンは、米特殊部隊上がりの中年男。いろんなトラウマに悩まされながら、黙々と任務をこなす。聖書を心の拠り所としながらも、心の重圧に苛まされ、ときには自殺を試みる。マイ・ボディガードといった軽い存在ではない。

第二に、準主役のダコタ・ファニング、可愛すぎ。本作を見ていると、本当に心が潰される瞬間が訪れる・・・。子役というのは、一般的に演技過剰なところがあり、それを承知でいろいろ賞賛されるが、ダコタ・ファニングは子役でありながら、演技の抑制が効いており、「アイ・アム・サム」とかでもそうだったが、見ていて掛け値なしで心を動かされる。子役というカテゴリーでくくれない本格派女優(もう18歳、まだまだ若いけど色香の漂う本当に立派な女優になった・・・、感慨・・・)。

第三は、監督のトニー・スコットが、もう二度と作品を作れないということ。心の中に鉛を流し込まれたような重圧感を感じる。本作では、かなり凝ったカメラワークが見れるが、それを批判する人もいる。しかし、これは監督の個性というものだろう。

主役クリーシーは、過去に苛まされながら、ジャック・ダニエルをあおり、ある晩、ピストルをこめかみに当てて、引き金を引く。しかし、なぜか銃弾は発射されなかった。彼は不発弾を、マッチの箱のなかにしまう。そして、新約聖書を改め読む。ラストシーンも、新約聖書をオマージュにしたものだ。さすが、デンゼル・ワシントンとトニー・スコットのタッグの作品に外れはない。

アンストッパブル  Unstoppable

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2001年にオハイオ州で実際に起きた貨物列車の暴走事故をもとにした作品。映画の中では、ペンシルベニア州の森林地帯や鉄鋼業の街中を、毒性の強い化学物質を満載した数十両の無人貨物列車が疾走する。事態を放置すると、人口密集地帯に列車が突っ込んで大惨事なることが確実な中、同じ線路を走っていた別の機関車が解決策を考えついて…。

事故を収拾しようと試みるベテラン機関士フランクを演じるデンゼル・ワシントンと、新人車掌ウィルを演じるクリス・パインが好演。二人は家族からも見離されたダメ親父、ダメ夫を演じているのだが、体を張って事態を収拾しようとする姿に、二人の家族の彼らに対する態度も変わっていく。

一種のパニック物ではあるが、鉄道が舞台なので、作品が醸し出す雰囲気は地味。しかし、かえってそんな設定によって、地に足がついた骨太の作品に仕上がっている側面もある。地方のアメリカの庶民の暮らしぶりや価値観なども随所に描かれており、派手さはないが真面目で実直なテイストのある作品。

そうは言っても、これまで無数のアクションやサスペンスを手がけたトニー・スコット監督の作品だけあって、最後まで目が離せないスリル満点のストーリー展開にもなっている。見て損なし。

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ザ・ウォーカー  The Book of Eli

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まず、この映画の本質をつかむには、聖書を知っていないと難しいと感じた。ただ、聖書を知らなくても、この映画を観た後で聖書を読めば、全体の趣旨を理解できる仕掛けにもなっている。

欧米諸国では、誰もが子供の頃から聖書に頻繁に触れるので、ほとんどの人が聖書の内容を熟知している。それは、日本で「桃太郎」や「鶴の恩返し」などの昔話を、子供の頃から聞いているから、誰もがこうした昔話のあらすじを常識として知っているのと似ている。

欧米では、創世記からヨハネの黙示録に至る聖書の内容を、誰もが常識として知っている。映画に出てくる聖書の引用箇所も、常識として知っている。だから、この映画の本質も、何の努力もなく理解できるだろう。そこへいくと、多くの日本人にとって、この映画は、近未来SFのように映るかも知れない。

本作の舞台は、この世が破滅した後の終末後の世界。聖書には、終末のことも具体的に書かれているから、欧米人にとってこの設定はSFではなく、現実的な設定として映るだろう。

そんな荒涼とした大地を、イーライ(デンゼル・ワシントン)という男が、この世に一冊だけ残された聖書を、アメリカ大陸を西に向かって黙々と運んでいる状況が描かれる。イーライは、自分の意志というよりも、心の声に従って聖書を西に向かって運んでいる。

そこへ、イーライのミッションを邪魔するカーネギー(ゲイリー・オールドマン)という男が現れる。カーネギーは、終末後の世界の一集落を仕切る有力者。聖書の本質を知っているが、聖書の力を利用して、自分の権勢欲を満たそうと、イーライの聖書を強奪しようと試みる。

こんな設定も、欧米の多くの人達は、聖書の知識を自分の欲望を満たすために利用することの怖さと、ほんとうの意味で聖書を知ることの違いを体験的に知っているから、直観的にイーライとカーネギーの位置づけを把握することができるように思う。

…というわけで、この映画は聖書を知っていないと解釈が難しい。ただ、この映画を観た後で、聖書を読んで、その本質をつかむという順番でも良いと思います。非常に奥の深い映画です。

ジョンQ-最後の決断-   John Q

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感動する映画、泣ける映画というのは、世間にたくさんあるだろう。しかし、すべての人を泣かせる映画というのは、そんなにない。そんな貴重な一作がまさにこれ。

ジョン・クインシー(Q)・アーチボルトは、不況のあおりを受けて、リストラの対象となり、経済的な苦境に陥る。そんな中、一人息子のマイキーが心臓病で倒れた。息子を助ける道は、ただ一つ、心臓移植しかなかったが、想像を絶する多額の費用が必要となった。多くの寄付を受け、息子の心臓移植への道が少しずつ拓かれていたが、彼の命を救う唯一の可能性もついに絶たれる。そこで、ジョンQが取った最後の決断は…。

多言は要すまい。とにかく観てほしい。こんな状況に陥ったら、人はどういう行動を取るのか。この映画には悪人が一人も出てこない。誰もが、自分の身を守ることで精一杯の小市民ばかり。そんな中、一人の男が究極の選択を強制された。自分を主人公に置き換えてみると、人間の命の重さというものが理屈抜きで迫ってくる。「感動」という言葉を超えた名作。