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ザ・バンク 堕ちた巨像  The International

ザ・バンク 堕ちた巨像 コレクターズ・エディション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2010-09-03)
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国際金融機関の底なし沼のような巨悪を描いた力作。 ― とは言っても、こういう映画は、いかにもスケールが大きくてビックリという期待もあるかもしれないが、本当は現実の方が映画を遥かに上回っている。

この映画では、IBBCという国際金融機関が出てくるが、現実にはかつてBCCI(Bank of Credit and Commerce International)というそっくりな業態の銀行があった。BCCIは似たようなスキャンダル(イラン・コントラ事件)が明るみに出て大騒ぎになり、当時のホワイトハウス中枢にまで捜査の手が伸びた。何人かの現職・元職の閣僚が刑事告訴され、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領の足元にまで捜査が及んだ。本作は、そこまでの次元にまで話を広げていない。たぶんそこまでやったら、かえってストーリーが嘘くさくなるから、やめたのかもしれない。

このように、はっきり言って、映画としては抑制が効きすぎており、迫力はあまりない。しかし、途中で出てくるニューヨークのグッゲンハイム美術館での銃撃戦は圧巻。ニューヨークに観光とかで行ったことのある人なら、あのデンデン虫のような特徴のある建物に行ったことがあるかもしれないが、本作では激しい銃撃戦で、美しい内部が蜂の巣だらけ。シャンデリアも全壊。どうやって撮ったのだろう。一部CGかな(※)?

クライブ・オーウェンとナオミ・ワッツが好演。元シュタージ(東独の秘密警察)のお爺さんの独白も妙に耳に残る。映画として、微妙に現実の事件と話を絡めながら、もっとリアリティを出してほしかった。しかし、それができないほど、BCCI事件というのはヤバイ事件だったのかも。

※後日よく調べたら、これはグッゲンハイム美術館の実物大のセットを作って撮影したとのこと。こういうところが、ハリウッドは発想が違う。悪いけど、日本映画にはない発想という気がします・・・。

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