月別アーカイブ: 2010年10月

ハート・ロッカー  HURT LOCKER

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最近、イラク戦争やアフガン戦争を描いた作品が続々と出てきている。これまで戦争映画というと、第二次世界大戦、ベトナム戦争を描いたものが圧倒的に多く、戦争と言えば、大規模な陸海戦、ジメジメしたジャングルの戦いというイメージが強かった。

しかし、こういう最近の戦争を描いた作品を見ると、現代の戦争は基本的に市街戦で、ハンビーのような装甲車で、路地の中を走り回って戦うものだということがよくわかる。そういう意味で、こういう映画を観ると戦争のイメージが変わる。

本作は、イラクで活動する爆弾処理班の活動を描いた作品。イラクやアフガニスタンでは、銃撃戦などよりも、遠隔操作による路肩爆弾(IED)による死傷者が圧倒的に多いという。そういう意味でも、この作品を見ると、現在進行中の戦争がどういうものかよく分かる。

監督は、本作でアカデミー賞をとったキャサリン・ビグロー。女性が監督したという女性特有の視線は感じられない。むしろ、一つの戦争映画として、ドライで硬質な感性を感じさせる秀作となった。

インビクタス Invictus

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心揺さぶられる映画である。南アフリカの人種対立の歴史を背景に、アパルトヘイト廃止直後、またネルソン・マンデラの大統領就任直後に、南アのラグビーチームが、ワールドカップのチャンピオンを目指す過程を描いている。

マンデラは大統領就任後、黒人の権利回復と同時に、人種間の融和と和解を、深い思慮と英断で、二つ同時に実現した。この二つは、現実的に考えれば、両立することは不可能だが、マンデラは経験と思慮と勇気によって、同時に達成した。その中に、ラグビーのワールドカップがあったわけだが、そこには旧南アの象徴とも言える金と緑のカラーリングのナショナルチームのユニフォームを変更しないなど、細かい問題をおざなりにしない、深い思慮があった。

モーガン・フリーマン演じるマンデラが、自らをかつて破滅させようとした敵を許すことの難しさと大切さを、説得力をもって語りかけている。