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スティーブン・スピルバーグ、トム・ハンクスらの共同監督による第二次世界大戦の太平洋戦線を、米軍の視点から描いた長編テレビドラマ。アメリカでは昨年放映されたが、日本では今夏初めてDVDとブルーレイが発売された。
最前線を戦った3名の海兵隊員の手記をもとに、ガタルカナル、ペリリュー、硫黄島、沖縄と続く太平洋戦線における転戦の様子が描かれる。手記を書いた3名も、そのまま実名で登場する。いたずらに米軍を美化したり、日本軍を軽視、蔑視することなく、米軍による残虐行為もしっかり描かれている点が、これまでの似たテーマの作品と一線を画す。
また、本作のもう一つの特徴は、戦争によって兵士一人ひとりの肉体も傷つくが、同時に心も傷つき、精神が崩壊していく様子も等価に描いている点。3名の海兵隊員のうち一人は、精神病棟への入退院を繰り返し、もう一人は、もともと特に高潔な心を保っていたが、様々な戦場体験により、心がケダモノのように変化していく。
戦争が、観念的な意味ではなく、本当に地獄だということが改めてよく分かる作品。そんなわけで、途中には心が落ち込むシーンも多い。しかし、最後まで見ると、なぜか心の中に清涼感が広がっていく。それは、監督のストーリー構成における手腕によるところもあるのだろう。
スティーブン・スピルバーグ、トム・ハンクスの共同監督による作品には、第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を描いた「バンド・オブ・ブラザーズ」がある。こちらもリアリティ重視の長編作品。比べて観るのもおもしろいかもしれない。