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マイアミ・バイスというと、最近の映画を思い浮かべる人も多いと思うが、本家は80年代のテレビ版。30-40歳代の人なら、日本で放映していたのを覚えている人もいるだろう。
テレビを新調したのがきっかけで、DVDセットを買ってしまった。とりあえずシーズン1から3まで。自分はちょうど18歳のころ見ていたのだが、当時のことも思い出し、なんか懐かしくなった。
当然、ファッションも音楽も、設定も全部、モロ80年代。刑事が切羽詰る中、必死に公衆電話で本部とやり取りしたり、デスクではタイプライターで報告書を打っていたりする。パソコンを使う人は、コンピューターを使える特殊技能を持った専門家のような感じで描かれている。
そんな80年代丸出しな感じなのだが、それでもこのテレビ版のマイアミバイスは、完成度が高く、優秀な作品だと改めて思った、一つは、マイケル・マン監督の細部へのこだわり。刑事モノによくある安易な設定がない。人物描写の彫りも深い。二つ目は、ファッションや音楽が凝っている。80年代ではあるが、当時としてはすごくカッコ良かった…。
三つ目の特徴は、ほとんどの場合、各話が「アンハッピー・エンド」で終わるということ。これは普通のテレビドラマでは異常なことなのではないかと思うが、ここに独特のリアリティが宿っている。せっかく逮捕した犯人が、裁判の妙な手続で釈放され、再犯を犯す。被害者や加害者が立ち直り、これから人生を再出発というときに、とんでもない不運に襲われる…等々。
だから、マイアミ・バイスを見ていると、ちょっと鬱的になってくる。でも、作品の完成度は高い。やはり今見ても、稀有なテレビ・ドラマだと思いました。