月別アーカイブ: 2009年8月

ブルース・ブラザーズ  The Blues Brothers

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主人公「ブルース兄弟」を演じるジョン・ベルーシとダン・エイクロイドに加え、ブルース界のスーパースター、ジェームズ・ブラウン、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズなど、超豪華キャスティングが送るリズム&ブルースをベースにしたアクション・ミュージカル。

1980年制作だが、今でも熱烈なファンが絶えないと聞く。ある意味、個性が強い作品なので、ピンと来ない人もいる反面、一度観てとりこにされてしまう人もいるようだ。音楽の素晴らしさもさることながら、やはりジョン・ベルーシとダン・エイクロイドのコメディアンとしての才能を再認識させられる。

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プラダを着た悪魔  The Devil Wears Prada

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こういう映画は、女性をターゲットに作られているというイメージで敬遠していたが、男性が見ても面白いという批評を目にしたので観てみた。うーん、実際に観てみて、やはり主なターゲットは女性だろうという思いを新たにした。

しかし、それでも充分に楽しめた。それはひとえに、制作サイドの尽力と才能にもよるが、素人目にはアン・ハサウェイとメリル・ストリープの演技力にもよると感じた。

アン・ハサウェイは、日本でもCMの露出があったので有名だが、単にキレイなだけでなく、なかなか巧い役者だ。ちょっとイジメられ役っぽい役どころだが、心理描写が非常に巧い。二枚目と三枚目を、一つの作品の中で上手に行き来している。

メリル・ストリープは、今さら言うことなし。名女優というのは、こういう人のことをいうのだろう。最近は、年齢ゆえの嫌味や弱さが強調された作品が多いが、そういう役も上手に演じている。そして、単に上手に演じるだけでなく、彼女自身の気品が役の中に織り込まれているはさすが。

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ブラディ・サンデー  Bloody Sunday

日本の英語の授業では、イギリスは英語で言うとEnglandになると教えているが、これはかなりひどい間違いだ。また、そもそもこの国をイギリスと呼んでいること自体、Englandから来ているので間違った表現だ。そして、こういう国名を安易に扱う習慣が、この映画で描かれたような惨劇を生んだとまで言ったら言い過ぎだろうか・・・。

ご存知の通り、いわゆるイギリスという国の正式名は、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)という。この名から明らかな通り、この国は複数の国から構成される連合国家で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてその海外領土が集まって成り立っている。しかし、ここでいちいちグレート・ブリテンおよび・・・と何度も言うのは大変なので、ここでは便宜上この国を「英国」と呼びたいと思う。

その英国では、歴史上イングランドが、上記周辺国を併合しようと何度も侵略戦争を挑んできた。あるときは周辺国はイングランドに併合され、あるときは独立を獲得するということを繰り返して、今日に至っている。今では、それぞれが国家としての形式を保ちつつ、一緒に集まって連合国家を形成している。

しかし、その過程でアイルランドだけは英国から完全な独立を果たし、さらに北部はそこから再分離して英国の一部に戻った。そのため、北アイルランドでは、あくまで英国の一部であり続けようとする人々と、改めて南北統一を目指す人々の間で紛争が始まった。その後、この紛争に英国中央政府も介入し、各々の二つのグループも分裂して、紛争の構図は非常に複雑になった。

前置きが長くなったが、本作はこうした北アイルランド紛争が激化して頂点に至った「血の日曜日事件(1972年)」を描いている。事件は、北アイルランドのデリーで、南北アイルランドの統一を目指すグループのデモを、英陸軍が制圧する際に起きた。陸軍部隊は、最初は放水やゴム弾でデモ隊に応じていたが、徐々に感情的になり、丸腰のデモ隊に対して実弾を発射して、市民十数名を殺害してしまう。英国政府は、事件直後から責任回避に躍起となった。

監督のポール・グリーングラスは、マット・デイモン主演のボーン・シリーズのうち2作を取った人だが、ここでもカメラを手持ちで廻すことにこだわった。もちろん、カメラはぶれまくるが、これで映像があたかも実写ドキュメンタリーのようなリアルな映像に変わった。そして、デモ隊を潰す英軍部隊には、実際にデモを潰した経験のある英軍の退役軍人を多く使った。こうした細部へのこだわりが、映画のリアリティを増し加えている、本当に目の前で事件が展開しているような錯覚に陥る。

血の日曜日事件の公式調査は、何度かの棚ざらしを経て、今も続いている。そして、その正式な調査結果が今年の秋に出るという。それをきっかけに、また紛争が激化するのだろうか、それとも収束に向かうのだろうか・・・。

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スクール・オブ・ロック  School of Rock

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規律の厳しいアメリカの名門私立小学校が舞台。子どもたちは、厳しい規則と、暗記中心の勉強にがんじがらめに縛られて、完全に生気を失っている。頭は良いが、子どもらしい元気がない。そこへちょっとあやしい臨時教員(ジャック・ブラック)がやってきて、子どもたちにロックの魂を注入し、みんなでバンドを組んで・・・というお話。

子どもたちが、皆かわいらしく、演技が自然でうまい。セミプロ級の音楽の腕前の子役ばかりをリクルートしたそうで、演奏もうまい。主演のジャック・ブラックとのやり取りもチグハグで笑える。しかし、ただ笑わせるだけでなく、後半からクライマックスにかけては、深い感動を与えてくれる。ところどころ???という箇所もあるが、観終わった後、心が温かくなる映画だ。

本作には、レッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、AC/DCなど、1970年代を中心に、60年代から80年代前半の名曲が随所に出てくる。自分もかつて、80年代に5-10年くらい遅れて、これらの名曲にハマッた。だから、そういう意味で、とても懐かしい気持ちにもなりました。

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ミッシング  Missing

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1973年、チャールズ・ホーマンというアメリカ人の若手ジャーナリストが、南米チリでの滞在を妻や友人とともに楽しんでいた。そこを、突然の軍事クーデターが襲う。チャールズは失踪し、家族と米国政府による慎重な捜索が始まった。結果は、誰もの想像を超えるものだった…。

本作はそんな本当に起きた話を映画化した作品。非常にショックな内容。観た後、背筋の凍るようなイヤ~な感覚がしばらく残る。全身から力が抜けていくような虚しさが残る。しかし同時に観てよかったとも思う。非常に見応えのある完成度の高い作品だ。

自分はバブル時代に学生時代をすごし、当時はいろんな途上国にも遊びに行った。そして、その後も仕事で途上国へ行くこともあり、それなりに危ないこともあった。しかし、今となっては楽しい思い出ばかりであり、今の若い人の中にも、好んで途上国や紛争国へ行く人がいるが、そういう人たちの気持ちもよく分かる。

しかし、ああいうところに行くには、一定のリスクが伴う。近年でも、イラクやアフガニスタンで、バックパッカーやNGO職員の若者が犠牲になったが、ああいうことは決して特別なことではない。ああいうことは、絶対に起きてはいけないことだが、途上国や途上国では、残念ながらいつでも起きる可能性があることでもある。

この映画は、そういう途上国、紛争国の一面を、静かな恐怖とともに伝えている。特に、最後の方で米国大使館の駐在武官が、チャールズの父に語る例えはとても教訓に満ちている(どういう内容かは、ぜい映画を観てください)。― 途上国、紛争国へ行くな、ということではない。しかし、そういう場所がどういうところかを、事前に了承した上で行く必要があるということだろう。

父親を演じるジャック・レモンが涙を誘う。主人公の妻役のシシー・スペイセックも切ない。ヴァンゲリスの音楽も、とてつもなく悲しい。 ― 悲しく、恐ろしく、そして重い映画である。そして、隠れた名作だと思う(※全く同名の映画がありますが、こちらはジャック・レモン出演、コスタ・ガブラス監督の作品です)。

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