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ソーシャル・ネットワーク  Social Network

ソーシャル・ネットワーク [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2011-12-21)
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フェイスブック創業の経緯を、創業者で現CEOのマーク・ザッカーバーグを中心に描いている。ザッカーバーグ氏は、周囲の知恵や力を借りて、ときには友人までも利用して、いろんな無理をしながらフェイスブックを創業したと批判されることが多い。変わり者だ、人間として欠落していると言う人もいる。

そして、この映画作品でも、そういう彼の裏の側面が描かれている。しかし、それでもやはり本作を見て、フェイスブックはザッカーバーグ氏によって創業され、ザッカーバーグ氏によって、ここまで成長できたのだという印象がますます強くなった。

その理由は、まず彼が一人のコンピューター・エンジニアとして、周囲よりも遥かに技術的に卓越していたという点が挙げられる。ハーバード大学内の女子学生を美人コンテスト風に、学内の投票でランキングするというアイディアは、他の学生も少し思いついていたようだ。しかし、実際にそのアイディアをプログラムに組み、ネット上にアップロードしたのはザッカーバーグ氏だった。

また、このシステムを学外へ広げ、現在のフェイスブックに近いビジネスモデルにしようと考えたのは、おもに他の学生たちだった。しかし、実際にプログラムを拡張・変更し、外部一般から莫大なトラフィック(アクセス)を集めるだけのサイトを作り上げたのもザッカーバーグ氏だった。

また、ビジネス面においても、広告収入に頼って、短期的な利益を上げる安易なアイディアを退け、サイトのクオリティーを上げることで、巨額の支援資金を引き寄せるという現在の圧倒的な成功に至る路線を主張し、その難しい路線を軌道に乗せたのもザッカーバーグ氏だった。

巨額の資金を方々から集め、著名な資金協力者からの猛烈なプレッシャーにもめげず、様々な誘惑にも打ち勝ち、ひたすらサイトのクオリティーを上げることで、参加者と資金を増やすという、当たり前だが一番難しく、ストレスが溜まる地味な仕事にコツコツと取り組んだのもザッカーバーグ氏だった。

周りにいた友人や「協力者」たちは、彼を支援しているようで、実際には彼を妬んだり、足を引っ張っているだけで、建設的なことはほとんど何もしなかったように見える。― ザッカーバーグ氏は、たしかに毀誉褒貶の多い人物のようだが、フェイスブックという巨大事業が、やはり彼の功績によって誕生し、成長し続けているという事実が、この映画を見ると浮き彫りになってくる。

たぶん、彼と同じくらいの技術的な才能を持った人は、世の中に大勢いるだろう。また、彼と同じくらいビジネス感覚に優れた人も大勢いるだろう。彼と同じくらいプレッシャーに強い人もいるだろう。また、彼と同じくらいこの世の誘惑に抵抗できる人もいるだろう。しかし、これらすべての素養を兼ね備えた人は、彼しかいなかった。そういうことが、この映画を見るとよく分かります。

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