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ジョンQ-最後の決断-   John Q

ジョンQ-最後の決断- [DVD]
ジェネオン エンタテインメント (2004-06-25)
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感動する映画、泣ける映画というのは、世間にたくさんあるだろう。しかし、すべての人を泣かせる映画というのは、そんなにない。そんな貴重な一作がまさにこれ。

ジョン・クインシー(Q)・アーチボルトは、不況のあおりを受けて、リストラの対象となり、経済的な苦境に陥る。そんな中、一人息子のマイキーが心臓病で倒れた。息子を助ける道は、ただ一つ、心臓移植しかなかったが、想像を絶する多額の費用が必要となった。多くの寄付を受け、息子の心臓移植への道が少しずつ拓かれていたが、彼の命を救う唯一の可能性もついに絶たれる。そこで、ジョンQが取った最後の決断は…。

多言は要すまい。とにかく観てほしい。こんな状況に陥ったら、人はどういう行動を取るのか。この映画には悪人が一人も出てこない。誰もが、自分の身を守ることで精一杯の小市民ばかり。そんな中、一人の男が究極の選択を強制された。自分を主人公に置き換えてみると、人間の命の重さというものが理屈抜きで迫ってくる。「感動」という言葉を超えた名作。

ウォール街   Wall Street

ウォール街 (特別編) [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-12-23)
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ウォール街の中堅証券会社に勤務する若手ディーラー、バド(チャーリー・シーン)は、毎日まじめに営業攻勢を顧客にかけるも、努力が徒労に終わる無為な日々を送っていた。そこに、伝説の大物ディーラー、ゴードン・ゲッコー(マイケル・ダグラス)に接触するチャンスをつかむ。バドは危ない橋を渡りながらも、ゲッコーに取り入ることに成功し、将来がどんどん開けていくが…。

証券会社のディーリングルームには、前時代的な巨大モニターが並び、ディーラーはデカい携帯電話を片手に怒鳴り散らしている。証券取引所では、トレーダーが紙切れを片手に、注文を大声で確認し合っている。こういう光景は、もはやない。しかし、この映画には経済戦争の最先端の緊張感がリアルに漂っており、その本質は今も昔も変わらない。

圧巻なのは、ゲッコーが買収先企業の株主総会で行うスピーチの場面。「強欲は善であり、強欲は物事の本質をえぐり出す」など、市場原理で動く資本主義の本質を明確に語り、聴衆を圧倒する。ある意味、誤った見方だが、別の意味では正しいから、聞いている方は納得してしまう。

オリバー・ストーン監督、1987年の制作作品。当時のハリウッド映画は、戦争、恋愛、SFというのが大半を占めていたが、経済をテーマにした作品が出てきたことで人目を引いた。とくに同年10月には、歴史的なニューヨーク株式市場の大暴落(ブラック・マンデー)が起き、そういう意味でも注目を浴びた。続作が間もなく公開される。