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ブラディ・サンデー  Bloody Sunday

日本の英語の授業では、イギリスは英語で言うとEnglandになると教えているが、これはかなりひどい間違いだ。また、そもそもこの国をイギリスと呼んでいること自体、Englandから来ているので間違った表現だ。そして、こういう国名を安易に扱う習慣が、この映画で描かれたような惨劇を生んだとまで言ったら言い過ぎだろうか・・・。

ご存知の通り、いわゆるイギリスという国の正式名は、グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)という。この名から明らかな通り、この国は複数の国から構成される連合国家で、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてその海外領土が集まって成り立っている。しかし、ここでいちいちグレート・ブリテンおよび・・・と何度も言うのは大変なので、ここでは便宜上この国を「英国」と呼びたいと思う。

その英国では、歴史上イングランドが、上記周辺国を併合しようと何度も侵略戦争を挑んできた。あるときは周辺国はイングランドに併合され、あるときは独立を獲得するということを繰り返して、今日に至っている。今では、それぞれが国家としての形式を保ちつつ、一緒に集まって連合国家を形成している。

しかし、その過程でアイルランドだけは英国から完全な独立を果たし、さらに北部はそこから再分離して英国の一部に戻った。そのため、北アイルランドでは、あくまで英国の一部であり続けようとする人々と、改めて南北統一を目指す人々の間で紛争が始まった。その後、この紛争に英国中央政府も介入し、各々の二つのグループも分裂して、紛争の構図は非常に複雑になった。

前置きが長くなったが、本作はこうした北アイルランド紛争が激化して頂点に至った「血の日曜日事件(1972年)」を描いている。事件は、北アイルランドのデリーで、南北アイルランドの統一を目指すグループのデモを、英陸軍が制圧する際に起きた。陸軍部隊は、最初は放水やゴム弾でデモ隊に応じていたが、徐々に感情的になり、丸腰のデモ隊に対して実弾を発射して、市民十数名を殺害してしまう。英国政府は、事件直後から責任回避に躍起となった。

監督のポール・グリーングラスは、マット・デイモン主演のボーン・シリーズのうち2作を取った人だが、ここでもカメラを手持ちで廻すことにこだわった。もちろん、カメラはぶれまくるが、これで映像があたかも実写ドキュメンタリーのようなリアルな映像に変わった。そして、デモ隊を潰す英軍部隊には、実際にデモを潰した経験のある英軍の退役軍人を多く使った。こうした細部へのこだわりが、映画のリアリティを増し加えている、本当に目の前で事件が展開しているような錯覚に陥る。

血の日曜日事件の公式調査は、何度かの棚ざらしを経て、今も続いている。そして、その正式な調査結果が今年の秋に出るという。それをきっかけに、また紛争が激化するのだろうか、それとも収束に向かうのだろうか・・・。

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バンク・ジョブ、銀行の仕事、いや、銀行強盗という意味です。それも、この映画では、ただの銀行強盗ではない、1971年にロンドンで実際に起きた巨額の銀行強盗を描いている。

この銀行強盗事件が注目を浴びた理由は、強奪金額が全英一だったということだけでなく、政府の諜報機関が故意に仕掛けた銀行強盗だったということ。なんで政府機関がチンピラを使って銀行強盗を引き起こしたかというと、その金庫に王室のスキャンダルを押さえた証拠写真が隠されていたからだった・・・。

前半は、腐った英国の裏社会を見せつけられて気分が悪くなるが、後半から力強いストーリー構成で、観る者をグイグイと惹き付ける。英国の役者陣も演技派が多く、飽きさせない。また英語の好きな人にとっては、イギリス英語の勉強にもなるだろう。

実話をモチーフにした映画は、実話ならではの地味さに負けてしまっているケースも多いが、これは実話ならではの迫力を映像化することに成功したケースと言えるだろう。実話ならではのストーリーの奥行きと複雑さを、上手に映像化しているように感じました。

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長いタイトルだ。もともと英語には、lock, stock and barrelという成句がありまして(全部、すっかり等の意味)、さらにこの成句の各単語は、もともとライフルの銃身、銃床など、ライフルの各部分を指す言葉でもあります。

そして最後まで見ると、このタイトルとストーリーの中身がぴったりマッチしていることが分かり、なんとオシャレなタイトルなのかと感動するのであります。ま、そんな説明はここまでにして…。

イギリス版「パルプ・フィクション」といった感じ。いや、パルプ・フィクションよりも構成が凝っている。こういう制作側の「努力」が伺える作品が好きだ。低予算と聞いたが、頑張ればここまで面白い映画が作れるという手本でもある。話の筋書きだけでなく、カメラワーク、編集、音楽も秀逸。

本作のもう一つの楽しみは、コックニーを楽しめるというもの。本作では、英語をしゃべっているのに、英語の字幕が出る箇所がある。それだけ、イギリス人でも分からない表現、発音なのだということなのだろう。

監督のガイ・リッチーは、マドンナの元旦那さん。最近はどうも仕事も不調らしいが、ぜひまた面白い作品を撮ってほしいものです。

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