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ルワンダの涙  Shooting Dogs

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原題が戦場の狂気を鋭く表していているのに対し、邦題は困ったもの。本作は、1994年に起きたルワンダでの大虐殺を描いた作品。ホテル・ルワンダはルワンダ人の視点から事件を描いていたが、本作は現地にいた外国人の視点から事件を捉えている。

事件が起きた1994年の少し前には、ボスニアで組織的な民族浄化が起き、ソマリアでは米兵多数が虐殺されて米軍が撤退するなど、国連の安全保障理事会では、こうした途上国での残虐な民族紛争に、どう対応すればよいか議論が沸騰していた。

国連軍を投入しても、加害者と被害者を精密に選り分けて、加害者だけを制裁することは難しい。また加害者側が当事国の政府と一体である場合もあり、そういうとき内政不干渉を盾に介入を拒まれた。

だから、すごく注意深く、及び腰で介入するのだが、そうすると多勢に無勢で逆にボコボコにやられてしまう。だから、国連軍に部隊を出す先進諸国の世論は、こういう途上国の虐殺に介入するのはやめよう、しょうがないから放っておこうという方向へどんどん傾斜していった。そして、それがそのまま安保理の冷淡な姿勢につながり、現場での対応を導いた。

ところで、原題の意味は映画の中に出てくるエピソードに由来している。当時の現場の狂気を象徴しており、胸に刺さる。

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ルムンバの叫び   Lumumba

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邦題がどうしようもないが、1960年代のコンゴ独立時の首相、パトリス・ルムンバの半生記。とは言っても、スポットを当てているのは、彼が首相になる少し前から、暗殺されるまでの数年間。

国際社会は今も昔も、本質的に弱肉強食の下にあるが、本作が描く1960年当時は、植民地解放が真っ盛りで、それまでいいように搾取されてきたアフリカの植民地が、宗主国に下克上の挑戦状を叩きつけ、次々と独立を勝ち取って行った稀有な時代だった。

コンゴでは、パトリス・ルムンバが理想に燃えて独立運動を主導、熱狂的な国民の支持に支えられ、宗主国ベルギーからの独立を達成した。しかし、彼はまだ若く、経験不足とも見られていたので、ルムンバは首相にとどまり、ベテラン政治家のカサブブが大統領となる。

一方、国内では、資源に恵まれたカタンガ州のモイズ・チョンベが独立後のコンゴからさらに分離独立を図ったり、東西両陣営がコンゴの利権をめぐって介入を試みるなど外憂が続き、さらに社会経済政策の無策も重なって、国内の社会秩序はどんどん崩壊していく。

こうした中で急速に浮上してきたのが、当時コンゴ軍の参謀長だったモブツ・セセ・セコだった。急進的なルムンバは西側諸国から嫌われ、優柔不断なカサブブは頼りにならないと見なされる中、モブツはアメリカをはじめとする西側諸国の支持を得て、クーデターを敢行、指導者の椅子に座る。

この映画を観ると、ルムンバという青年政治家は、たしかに有能な資質を備えていたが、野卑な軍人政治家や、エゴ丸出しの大国と巧く渡り合うだけの政治的センスが欠けていたようだ。やっていることは間違っていなかったが、その手法が直情的だったため周囲から敬遠され、味方を敵に回し、最終的には国際政治の闇の中に消えていったという感じ。

そんな背景もあり、ルムンバの暗殺事件は、非常に不気味で後味の悪い事件だ。しかし、現代の国際政治も、こういう事件を黙認する暗い側面があり、ルムンバの一件は決して特殊な事例ではないような気もする。

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ナイロビの蜂  The Constant Gardener

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他の多くの映画と同様、この映画も邦題がイタイ。原題は、遠まわしではあるが、主人公の本質を的確に示しており、また作品のテーマとも関連がある。これを、そのまま使った方が良かったのではないだろうか。

本作は、利益最優先の巨大製薬企業が、アフリカの人々を半ば人体実験のように治験に使って暴利をむさぼるスキャンダルを、人権活動家で、ケニア駐在英国大使館の外交官の妻が暴こうとしたプロセスを描いている。イギリス外交官をレイフ・ファンズ、その妻をレイチェル・ヴァイスが演じている。

ストーリーの本筋は、悪いものではないように映る。しかし、観終わった後の後味が、どうも悪い。その理由は2つあるように感じた。一つ目は、人道支援にいそしむ主人公の妙な正義感。現代のグローバル社会の下では、先進国の住人である私たちは、自分の意志と関係なく、構造的に途上国の人々の暮らしを踏みにじりながら、豊かな生活を享受している側面がある。もし、この構造的な「弱い者イジメ」を批判するならば、自分もその「弱い者イジメ」に加担している一員である点を自覚しながら批判する必要がある。しかし、本作の主人公にその自覚はない。

二つ目は、自分の家族を大切にしない人が、社会の弱者とも言える人々を大切にしたり、守ったりすることができるのだろうかということ。人間の力には限界があるから、自分の周りの人をどうケアして大切にしていくかということを考えた場合、そこには当然、優先順位が生じる。それはおのずと、家族、友人、地域社会、世界、といった順番になるだろう。もし、誰かが世界の紛争を解決したいという理由で、自分の家族を犠牲にするようなことがあれば、その人は自分の足元で紛争をこしらえていることになるのではないだろうか。

途上国の人々の人権を踏みにじることは許されない。そして途上国の人を助けることは必要だ。しかし、まず最初に自分の足元をしっかり見つめることが大切なのではないだろうか。そんなことを、改めて思わされる作品でした。

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ブラッド・ダイアモンド   Blood Diamond

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紛争ダイヤモンドについては、日本のドキュメンタリー番組でも報道されることがあるので、この問題を知っている人も多いだろう。身近な女性の身に付けているダイアモンドが、もしかしたらアフリカの人々の血の代償の結果かもしれない、またそうでない保証はどこにもないという事実を、改めて認識させられる作品。

ハリウッド作品で、代表的なハリウッドの役者が出演している作品だが、アフリカ独特のにおいというか、雰囲気がよく出ている。ディカプリオなど、傭兵関係者のしゃべる英語のアクセントも、いかにもアフリカの白人といった感じ。さらにラストに近づくに従って、ディカプリオ演じるアーチャーが、本当にアフリカの白人のように見えてくる演出、演技も印象的でした。

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ラスト・キング・オブ・スコットランド   Last King of Scotland

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先進国の若者が、開発途上国や紛争国に仕事で行くと、とんでもない大きな権限を与えられて、スケールの大きい仕事を任されることがある。

その理由の一つは、先進国の人間の方が、より優れた教育や職業訓練の機会に恵まれているために、より有用な人材として社会的に機能できる場合が多いから。また、安逸な生活に慣れた先進国の人間が、リスクを冒してまで途上国・紛争国に行くことは少ないので、その人材としての相対的価値が現地で一層高まるからである。

本作では、スコットランドの平凡な若医者が、冒険心からアフリカ中部のウガンダに行き、ひょんなことから当時の大統領イディ・アミンの主治医になったことから、ストーリーが展開していく。そんなことが本当にあるのかと思うが、やはり実際に十分ありうることだと思う。

その後、若医者は思慮なく放蕩したり、半ば調子の乗って現地の生活をエンジョイするのだが、次第にアミンの残虐性、異常性に触れるようになり、そこから逃げようとする。しかし、若医者は執拗なアミンから逃げることはできない。放蕩の代償を払ったり、いろいろあってストーリーはクライマックスに至る。

アミン役のフォレスト・ウィテカーの演技が光る。とてもアメリカ人には見えない。また、首都カンパラにうごめく先進国のわけの分からない人間関係もリアル。 

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