ナイロビの蜂  The Constant Gardener

ナイロビの蜂 [DVD]
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日活 (2006-11-10)
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他の多くの映画と同様、この映画も邦題がイタイ。原題は、遠まわしではあるが、主人公の本質を的確に示しており、また作品のテーマとも関連がある。これを、そのまま使った方が良かったのではないだろうか。

本作は、利益最優先の巨大製薬企業が、アフリカの人々を半ば人体実験のように治験に使って暴利をむさぼるスキャンダルを、人権活動家で、ケニア駐在英国大使館の外交官の妻が暴こうとしたプロセスを描いている。イギリス外交官をレイフ・ファンズ、その妻をレイチェル・ヴァイスが演じている。

ストーリーの本筋は、悪いものではないように映る。しかし、観終わった後の後味が、どうも悪い。その理由は2つあるように感じた。一つ目は、人道支援にいそしむ主人公の妙な正義感。現代のグローバル社会の下では、先進国の住人である私たちは、自分の意志と関係なく、構造的に途上国の人々の暮らしを踏みにじりながら、豊かな生活を享受している側面がある。もし、この構造的な「弱い者イジメ」を批判するならば、自分もその「弱い者イジメ」に加担している一員である点を自覚しながら批判する必要がある。しかし、本作の主人公にその自覚はない。

二つ目は、自分の家族を大切にしない人が、社会の弱者とも言える人々を大切にしたり、守ったりすることができるのだろうかということ。人間の力には限界があるから、自分の周りの人をどうケアして大切にしていくかということを考えた場合、そこには当然、優先順位が生じる。それはおのずと、家族、友人、地域社会、世界、といった順番になるだろう。もし、誰かが世界の紛争を解決したいという理由で、自分の家族を犠牲にするようなことがあれば、その人は自分の足元で紛争をこしらえていることになるのではないだろうか。

途上国の人々の人権を踏みにじることは許されない。そして途上国の人を助けることは必要だ。しかし、まず最初に自分の足元をしっかり見つめることが大切なのではないだろうか。そんなことを、改めて思わされる作品でした。

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