月別アーカイブ: 2009年4月

硫黄島からの手紙   Letters from Iwo Jima

硫黄島からの手紙 [DVD]
硫黄島からの手紙 [DVD]

posted with amazlet at 11.01.01
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21)
売り上げランキング: 4524


「硫黄島からの手紙」と「父親たちの星条旗」は、第二次世界大戦の太平洋戦線における硫黄島の戦いを、それぞれ日本の視点、アメリカの視点から描いた作品。今回、両作を1日1作ずつ2日かけて観たが、今日は「手紙」について、次回は「星条旗」についてコメントしたい。

本作(硫黄島からの手紙)の特徴は、極めてアメリカ的なアメリカ人(?)とも言えるクリント・イーストウッドが監督として、日本人の俳優を使い、日本語のセリフを語らせ、さらに日本の組織、日本の社会、日本の家族を綿密に描いておきながら、何の違和感も感じさせず、作品のメッセージを上手に観客に伝えているところ。

ある意味、純日本映画だと言われて観たとしても、そう信じてしまいそうな自然な感じがある一方で、多くの日本映画に必然的に染み付いている悪い意味でのウェット感が全くない。その意味で、重いテーマを扱っているが、観た後で考えさせられることはあっても、気分が悪くならない。

いろいろ制作の裏話を調べてみると、当初イーストウッドは、「星条旗」は自分が担当し、「手紙」は日本人の監督に任せるつもりだったようだ。しかし、いろいろ調査を進めるうち、日本兵もアメリカ兵も同じ人間であることを痛感するようになり、「手紙」も自分が監督する決意を固めたという。

そういうイーストウッドの落ち着いた思慮や、地道な調査が、作品の自然さ、適度に抑制された演出に滲み出ている。苛烈な日本の軍隊社会を描きながら、抑制された自然なトーンのセリフ回しが多く、その点も作品としての迫力とリアリティを増し加えている。

また、実際の硫黄島の戦いは、類を見ないほど陰惨を極めたと伝えられているが、だからと言っていたずらに残虐シーンを織り込むことをせず、そのへんも、極めて大人の演出といった感じ。一言で言うと、イーストウッドの演出に脱帽、といったところ。

あと、出演者について言うと、やはり多くの人が指摘するとおり、二宮君の演技が素晴らしい。渡辺謙は期待値が高い分だけ損だが、人格者と言われた栗林中将の人となりを感じさせる落ち着いた演技が印象に残った。

人気ブログランキングへ

ブラッド・ダイアモンド   Blood Diamond

ブラッド・ダイヤモンド [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21)
売り上げランキング: 4086


紛争ダイヤモンドについては、日本のドキュメンタリー番組でも報道されることがあるので、この問題を知っている人も多いだろう。身近な女性の身に付けているダイアモンドが、もしかしたらアフリカの人々の血の代償の結果かもしれない、またそうでない保証はどこにもないという事実を、改めて認識させられる作品。

ハリウッド作品で、代表的なハリウッドの役者が出演している作品だが、アフリカ独特のにおいというか、雰囲気がよく出ている。ディカプリオなど、傭兵関係者のしゃべる英語のアクセントも、いかにもアフリカの白人といった感じ。さらにラストに近づくに従って、ディカプリオ演じるアーチャーが、本当にアフリカの白人のように見えてくる演出、演技も印象的でした。

人気ブログランキングへ

ラスト・キング・オブ・スコットランド   Last King of Scotland

ラストキング・オブ・スコットランド (特別編) [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-06-25)
売り上げランキング: 13452


先進国の若者が、開発途上国や紛争国に仕事で行くと、とんでもない大きな権限を与えられて、スケールの大きい仕事を任されることがある。

その理由の一つは、先進国の人間の方が、より優れた教育や職業訓練の機会に恵まれているために、より有用な人材として社会的に機能できる場合が多いから。また、安逸な生活に慣れた先進国の人間が、リスクを冒してまで途上国・紛争国に行くことは少ないので、その人材としての相対的価値が現地で一層高まるからである。

本作では、スコットランドの平凡な若医者が、冒険心からアフリカ中部のウガンダに行き、ひょんなことから当時の大統領イディ・アミンの主治医になったことから、ストーリーが展開していく。そんなことが本当にあるのかと思うが、やはり実際に十分ありうることだと思う。

その後、若医者は思慮なく放蕩したり、半ば調子の乗って現地の生活をエンジョイするのだが、次第にアミンの残虐性、異常性に触れるようになり、そこから逃げようとする。しかし、若医者は執拗なアミンから逃げることはできない。放蕩の代償を払ったり、いろいろあってストーリーはクライマックスに至る。

アミン役のフォレスト・ウィテカーの演技が光る。とてもアメリカ人には見えない。また、首都カンパラにうごめく先進国のわけの分からない人間関係もリアル。 

人気ブログランキングへ

ミュンヘン   Munich

ミュンヘン [DVD]
ミュンヘン [DVD]

posted with amazlet at 13.11.04
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2011-04-28)
売り上げランキング: 27,464


1972年、ミュンヘン・オリンピックの開催中、イスラエル選手11名がオリンピック村などでパレスチナ人武装勢力に殺され、その後しばらくして、イスラエル諜報機関は一連の報復工作を実施した。本作は、その報復工作を、一部フィクションも交えて描いた作品。

これらの事件の背景には、パレスチナ紛争(中東紛争)があるわけだが、この紛争は知れば知るほど、その特殊性を認めざるを得ない実に特異な紛争だ。また、知れば知るほど、解決が難しいことを認めざるを得ない紛争だし、善悪では割り切れない紛争でもある。また、人間の知恵と力では、解決できない紛争でもある。

一方、この映画は、ほとんど予備知識なしでも、エンターテイメントとして楽しむことができる作りになっている。また、パレスチナ紛争やミュンヘン・オリンピック事件をじっくり学んでから観ても、それはそれで深く味わえる映画でもある。どちらの観かたも許容する懐深い作り方をしている点は、スピルバーグの力量なのかもしれない。

人気ブログランキングへ

フィクサー   Michael Clayton

フィクサー [DVD]
フィクサー [DVD]

posted with amazlet at 11.01.01
東宝 (2008-09-26)
売り上げランキング: 32668


原題は”Machael Clayton”と主人公の名前を使い、邦題はフィクサー(fixer)と主人公の職業の俗称を使っている。フィクサーは仲介役という意味もあるが、ここでは弁護士の中でも、証拠を消したり捏造する汚れ仕事専門の「もみ消し屋」といったところ。

フィクサーのクレイトンは、自身ももみ消し仕事をやるが、ある大きなスキャンダルの中に放り込まれ、自身が「もみ消し」の対象となる。ジョージ・クルーニーが、仕事面だけでなく、個人的にも家庭問題や金銭問題で首が回らないちょっとダメ男なフィクサーを好演。

農薬企業の女性法務部長や、精神疾患を抱えた企業法務弁護士など、軸になる脇役の人間性も一癖ある人ばかり。緊張感一辺倒のサスペンスではなく、さりげないコメディタッチも隠された作品。監督は、ボーン・シリーズの全三作の脚本を書いたトム・ギルロイ。これが初監督作品のようです。

人気ブログランキングへ