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アメリカを売った男  BREACH

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これも邦題が痛い。日本の配給会社の皆さん、どうかよろしくお願いします・・・。

BREACHとは、守秘義務の違反、侵害、または裏切りという意味もある。邦題は、たしかに主人公のことをそのまま表しているが、あまりに直球過ぎて、映画のタイトルとして成立していない感じ。

内容は、FBIのベテラン・エージェント、ロバート・ハンセンが20年以上、ソ連とロシアに機密情報を漏洩し続けてきた実話を描いている。実話をベースにした映画というのは、実話ならではの迫力を持っている一方で、どうしても実話から大きく逸脱できないという脚色上の限界を抱えている。本作も、どうしてもそうした限界を感じざるを得ないところがあった。

それにしても感じたのは、この人が信じていたのは何だったのかということ。たぶん、神の教えを装った人の教えだったのだろう。誰でも人の教えを100%信じ込む人はいない。しかし神様の教えを100%信じる人はいる。そして神様の教えを装った人の教えを100%信じ込んでしまう人もいるようだ。

神様の教えと、神様の教えを装った人の教えを識別することは難しいようで簡単だ。それは、聖書から逸脱しているかどうかということだろう。この映画には聖書が出てこない。宗教本のようなものは出てくるが、聖書が出てこない。こういう宗教本にはカルトっぽいものもあるから注意が必要だ。本作の主人公の姿を見ていると、この人がそういうものに心を操られていたのではないかと感じた。

一方、そもそも最初から神様なんかに関わらないで、生きていったほうが健全だという意見もあるだろう。しかし、人が本当の神様を知らないまま、人生を最後まで生き抜いていくことは難しい。それはさまざまな逆境や、とくに病気などで死に直面したときに、具体的に明らかになる。また、別に試練がないときでも、人は自分よりも強いもの、絶対的なものに心を惹き寄せられる性質を持っている。だから、本物の神様を知らないと、ヘンなものに引っかかってしまうリスクに絶えずさらされることになる。

こうした人間の本能的な性質は、人がもともと神様と一緒に生きていくのが本来の姿だということを示しているように思うのだが、だからこそ正しく神様に結びつくための羅針盤が必要になるだろう。そして、その羅針盤は聖書ではないかと思う。本作を観て、そんなことも感じました。

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ワールド・オブ・ライズ   Body of Lies

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イラクを舞台に、CIA本部から戦闘作戦の指揮を執る上司(ラッセル・クロウ)と、現場で命を張る部下(レオナルド・ディカプリオ)の人間関係を軸に据えたスパイもの。

現場を熟知する部下の仕事を、上司が大局的視点から次々とブチ壊しにするという、世間ではよくある設定。上司も部下も、自分が正しい、オマエが間違っている、と心底信じ込んでいるところも、古今東西問わず永遠のテーマかもしれない。

スパイもので、組織の上下関係を軸にした作品としては、2001年の「スパイ・ゲーム」がある。タイトルはダサいが、中身は手堅い秀作。「スパイ・ゲーム」では、冷酷だが良識も併せ持つ上司、ロバートレッドフォードと、上司の冷酷さにイヤけを感じながら仕事を進める部下、ブラッド・ピットという取り合わせだった。

本作のラッセル・クロウは、冷酷さ、情の薄さがもっと前面に出ている。妙に器用なところや、言動の端々に情の薄さがリアルに滲み出ている。はっきり言うと、レッドフォードのように格好も良くないし、わざと中年太りの役作りをしているようで、こちらの方が世間一般の上司像としてはリアルかも。

実は、本作の監督のリドリー・スコットと、スパイゲームの監督のトニー・スコットは実の兄弟。両作とも、組織の中で矛盾に苦しむエージェントをビビッドに描いている点が共通している。

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コンドル   Three Days of the Condor

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ロバート・レッドフォードのスパイ映画というと、最近ではブラッド・ピットと共演した「スパイ・ゲーム」がある。どうしようもないタイトルだが、中身はなかなか良かった。本作「コンドル」は、今から35年近く前のレッドフォード主演のスパイ物。

スパイものとはいえ、レッドフォード演じるコンドルは、いわゆるスパイ・エージェントではなく、地味な組織の裏方役。それでも、冒頭はテンポよく進む。途中から、人情モノ的な展開になり、スピード感が落ちるが、これが昔の映画の特徴といえば特徴なのだろう。

レッドフォードは、今ではシワシワのおじいちゃんだが、とても若い。フェイ・ダナウェイも、今はおばあちゃんだが、めちゃくちゃ美しい。CIAの通信システムも、当時としては気張って工夫したのだと思うが、今から見ると笑いを誘うオモシロさ。しかし、これが時の流れというものなのだろう。

それにしても、コンドルが公開された年には、「カッコーの巣の上で」、「狼たちの午後」などが公開された。恐るべし、70年代。

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ミュンヘン   Munich

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1972年、ミュンヘン・オリンピックの開催中、イスラエル選手11名がオリンピック村などでパレスチナ人武装勢力に殺され、その後しばらくして、イスラエル諜報機関は一連の報復工作を実施した。本作は、その報復工作を、一部フィクションも交えて描いた作品。

これらの事件の背景には、パレスチナ紛争(中東紛争)があるわけだが、この紛争は知れば知るほど、その特殊性を認めざるを得ない実に特異な紛争だ。また、知れば知るほど、解決が難しいことを認めざるを得ない紛争だし、善悪では割り切れない紛争でもある。また、人間の知恵と力では、解決できない紛争でもある。

一方、この映画は、ほとんど予備知識なしでも、エンターテイメントとして楽しむことができる作りになっている。また、パレスチナ紛争やミュンヘン・オリンピック事件をじっくり学んでから観ても、それはそれで深く味わえる映画でもある。どちらの観かたも許容する懐深い作り方をしている点は、スピルバーグの力量なのかもしれない。

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フィクサー   Michael Clayton

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原題は”Machael Clayton”と主人公の名前を使い、邦題はフィクサー(fixer)と主人公の職業の俗称を使っている。フィクサーは仲介役という意味もあるが、ここでは弁護士の中でも、証拠を消したり捏造する汚れ仕事専門の「もみ消し屋」といったところ。

フィクサーのクレイトンは、自身ももみ消し仕事をやるが、ある大きなスキャンダルの中に放り込まれ、自身が「もみ消し」の対象となる。ジョージ・クルーニーが、仕事面だけでなく、個人的にも家庭問題や金銭問題で首が回らないちょっとダメ男なフィクサーを好演。

農薬企業の女性法務部長や、精神疾患を抱えた企業法務弁護士など、軸になる脇役の人間性も一癖ある人ばかり。緊張感一辺倒のサスペンスではなく、さりげないコメディタッチも隠された作品。監督は、ボーン・シリーズの全三作の脚本を書いたトム・ギルロイ。これが初監督作品のようです。

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