テロ」タグアーカイブ

ジャガーノート  JUGGERNAUT

ジャガーノート [DVD]
ジャガーノート [DVD]

posted with amazlet at 10.12.07
20世紀フォックスホームエンターテイメントジャパン (2007-07-27)
売り上げランキング: 14836


ジャガーノートというスペルを、動物のジャガー(jaguar)と、文房具のノート(note)の組み合わせで探しても辞書には出てこない。ジャガーノート(juggernaut)は、ヒンズー語から英語に入ってきた外来語。意味は、止めることのできない巨大な力、圧倒的破壊力といったところ。この映画作品では、大型客船に爆弾を仕掛け、政府を脅迫するテロリストのコードネームとして使われている。

古き良き70年代のパニック物。タワーリング・インフェルノの大型客船版といった感じもある。ワイルドギースなどで好演を見せたリチャード・ハリスが、英海軍の爆弾処理班のチーフを主演。アラビアのロレンスの族長アリを演じたオマー・シャリフが船長を演じている。70年代のハリウッド作品は、やはりクオリティが高いことを改めて再確認した次第。見て損はありません。

人気ブログランキングへ

マーシャル・ロー  The Siege

マーシャル・ロー [DVD]
マーシャル・ロー [DVD]

posted with amazlet at 13.11.03
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2012-10-12)
売り上げランキング: 65,557


ここ数年、中東とアメリカの関係を扱った優れた作品がいくつか世に出ている。具体的には、「シリアナ」、「キングダム-見えざる敵‐」など。この作品も、同じテーマを扱っている。ちなみに、原題は「包囲攻撃」の意、邦題は「戒厳令」の意。それぞれ、本作の趣旨を正確に反映している感じ。

最初に、今いちと思った点を書くと、典型的なハリウッド商業主義の娯楽作品の映画で、底が浅い。リサーチも甘いし、ディテールにこだわりがないので、リアリティが薄い。役者がデンゼル・ワシントン、アネット・ベニングなどを起用しながら、この底の浅さは制作サイドの問題か・・・。ちょっとがっかり。

しかし、1998年製作の映画で、2001年の同時多発テロを、ここまで正確に予期した点は驚愕。現実は、映画をはるかにしのぐスケールで起きたが、ここまで正確に予期した点は脱帽。いま、ブッシュ政権下でのテロ容疑者への尋問や拷問の方法が問題になっているが、そういう要素も描いており、正確に未来を先取りしている。

しかし、ブルース・ウィリスという役者は、分野を問わず、完全に娯楽作品向けの役者だということを改めて確認した。つまり、この人が登場すると、どんなに集中して見ていても、これが映画なのだという現実に一気に引き戻される。ただ、ダイ・ハード・シリーズなどでの活躍は評価に値するところで、それはそれで、この人の持ち味なのだろうという気がした。

人気ブログランキングへ

グアンタナモ、僕たちが見た真実  The Road to Guantánamo

グアンタナモ、僕達が見た真実 [DVD]
東北新社 (2007-06-22)
売り上げランキング: 40036


2001年の同時多発テロの直後、パキスタン系英国人の若者数名が、結婚を決めるという超個人的な理由で、たまたまかつての母国に渡った。現地でちょっとした冒険心がもたげ、彼らは陸路でアフガニスタンに入り、国際紛争の最先端を自分の目で見ようとする。

しかし、運悪く戦闘の只中に突っ込んでしまい、多国籍軍からタリバンと間違えられて身柄を拘束されてしまう。挙句の果てには、他の容疑者とともにキューバのグアンタナモ米軍基地へ強制送致され、散々な目に遭う。本作は、そんな実話をベースにした英国映画だ。

米軍や情報機関のエリートたちは、髭を生やした浅黒い顔をした男たちを片っ端から捕まえては、一人ひとり「お前はオサマ・ビンラディンの知り合いだろう」、「居場所を吐け」と恫喝する。それも行き当たりばったりというより、自分たちなりに考えて「本気」で尋問するのである。

そんなに簡単にビンラディンの「知り合い」が見つかるわけがない、まず組織の背景を徹底的に調べよう、といった深謀熟慮のカケラもない単純さ。しかし、この荒唐無稽とも言える単純さが、いかにもアメリカ人的であり、それなりのリアリティを感じさせる。

アメリカは、たかだか建国200年あまりのポッと出の若い国だ。それだけに、アメリカ人というのは総じて、長い複雑な歴史を持つ他国の本質を理解することが苦手だ。自分を見る単純なレンズでしか、他者を見れない弱点がある。

たとえば、かつてベトナム戦争でも、北ベトナム指導部は当時の冷戦構造に乗じて、ソ連や中国を利用することによって、民族独立という本来の目的を達成したわけだが、アメリカはベトナムがソ連や中国の駒として利用されていると、複雑な現実を単純な冷戦の代理戦争の枠組みだけで捉えてしまい、見事に負けてしまった。

しかし、このアホみたいな単純さは、同時にアメリカの強みでもあるように思う。複雑な現実を徹底的に単純化、記号化し、あらゆる雑念を排除して、最小の資源から最大の利益を導き出すことにかけては、天才的な才能を持っている。建国200年余りで、一種の未開地を世界最大・最強の覇権国に変えてしまったのは、そんなアメリカの特殊な才能によるところが大きいだろう。

話がやや脱線したが、今後の対テロ戦争の帰趨は、この単純さが凶と出るか、吉と出るかによるのではないか、なんてことをこの映画を観て感じました。しかし、米軍の扱いも相当ひどいが、あのパキスタンの若者たちも相当の若気の至りだ。生きて帰ってこれたのは、奇跡としか言いようがない・・・。

人気ブログランキングへ

キングダム/見えざる敵   The Kingdom

キングダム/見えざる敵 【プレミアム・ベスト・コレクション\1800】 [DVD]
UPJ/ジェネオン エンタテインメント (2009-07-08)
売り上げランキング: 42396


キングダムとは王国、本作ではサウジアラビア王国のこと。シリアナと設定が似ているが、シリアナでは架空の中東の国シリアナを舞台に国際問題を描いたが、本作は実在の国、それも1996年に実際にサウジアラビアで起きたテロ事件を下敷きにしている。

制作前に下調べを入念にやったようで、各国の官僚組織が抱える問題点や、先進国と途上国の価値観の衝突などの背景描写もしっかり構成している。また、一人ひとりの登場人物の人物像も丁寧に描き込むなど、細部のディテール描写に手抜きがないので、観る側の集中を切らさない。

こういう手の込んだ映画は最近ではとても少なくなったが、本作はその例外と言えるだろう。また、丁寧に作り込んではいるが、冒頭から最後まで疾走感というか独特のスピード感があり、中だるみが全くない。

冒頭で分かりやすい説明が入るが、思えばサウジアラビアという国は不思議な国だ。筋金入りのイスラム国家でありながら近代国家、長く米軍を駐留させてきた親米国家でありながら、オサマ・ビン・ラディンなどの多くの国際テロ容疑者の祖国でもある。

終わり方はやや後味が悪い。しかし、この終わり方は興行成績よりも、現実を忠実に反映させることを優先させた結果かも。ジェイミー・フォックスが好演。クリス・クーパーなど脇役陣も手堅い。

人気ブログランキングへ

ワールド・オブ・ライズ   Body of Lies

ワールド・オブ・ライズ 特別版 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2010-04-21)
売り上げランキング: 4769


イラクを舞台に、CIA本部から戦闘作戦の指揮を執る上司(ラッセル・クロウ)と、現場で命を張る部下(レオナルド・ディカプリオ)の人間関係を軸に据えたスパイもの。

現場を熟知する部下の仕事を、上司が大局的視点から次々とブチ壊しにするという、世間ではよくある設定。上司も部下も、自分が正しい、オマエが間違っている、と心底信じ込んでいるところも、古今東西問わず永遠のテーマかもしれない。

スパイもので、組織の上下関係を軸にした作品としては、2001年の「スパイ・ゲーム」がある。タイトルはダサいが、中身は手堅い秀作。「スパイ・ゲーム」では、冷酷だが良識も併せ持つ上司、ロバートレッドフォードと、上司の冷酷さにイヤけを感じながら仕事を進める部下、ブラッド・ピットという取り合わせだった。

本作のラッセル・クロウは、冷酷さ、情の薄さがもっと前面に出ている。妙に器用なところや、言動の端々に情の薄さがリアルに滲み出ている。はっきり言うと、レッドフォードのように格好も良くないし、わざと中年太りの役作りをしているようで、こちらの方が世間一般の上司像としてはリアルかも。

実は、本作の監督のリドリー・スコットと、スパイゲームの監督のトニー・スコットは実の兄弟。両作とも、組織の中で矛盾に苦しむエージェントをビビッドに描いている点が共通している。

人気ブログランキングへ