グアンタナモ、僕たちが見た真実  The Road to Guantánamo

グアンタナモ、僕達が見た真実 [DVD]
東北新社 (2007-06-22)
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2001年の同時多発テロの直後、パキスタン系英国人の若者数名が、結婚を決めるという超個人的な理由で、たまたまかつての母国に渡った。現地でちょっとした冒険心がもたげ、彼らは陸路でアフガニスタンに入り、国際紛争の最先端を自分の目で見ようとする。

しかし、運悪く戦闘の只中に突っ込んでしまい、多国籍軍からタリバンと間違えられて身柄を拘束されてしまう。挙句の果てには、他の容疑者とともにキューバのグアンタナモ米軍基地へ強制送致され、散々な目に遭う。本作は、そんな実話をベースにした英国映画だ。

米軍や情報機関のエリートたちは、髭を生やした浅黒い顔をした男たちを片っ端から捕まえては、一人ひとり「お前はオサマ・ビンラディンの知り合いだろう」、「居場所を吐け」と恫喝する。それも行き当たりばったりというより、自分たちなりに考えて「本気」で尋問するのである。

そんなに簡単にビンラディンの「知り合い」が見つかるわけがない、まず組織の背景を徹底的に調べよう、といった深謀熟慮のカケラもない単純さ。しかし、この荒唐無稽とも言える単純さが、いかにもアメリカ人的であり、それなりのリアリティを感じさせる。

アメリカは、たかだか建国200年あまりのポッと出の若い国だ。それだけに、アメリカ人というのは総じて、長い複雑な歴史を持つ他国の本質を理解することが苦手だ。自分を見る単純なレンズでしか、他者を見れない弱点がある。

たとえば、かつてベトナム戦争でも、北ベトナム指導部は当時の冷戦構造に乗じて、ソ連や中国を利用することによって、民族独立という本来の目的を達成したわけだが、アメリカはベトナムがソ連や中国の駒として利用されていると、複雑な現実を単純な冷戦の代理戦争の枠組みだけで捉えてしまい、見事に負けてしまった。

しかし、このアホみたいな単純さは、同時にアメリカの強みでもあるように思う。複雑な現実を徹底的に単純化、記号化し、あらゆる雑念を排除して、最小の資源から最大の利益を導き出すことにかけては、天才的な才能を持っている。建国200年余りで、一種の未開地を世界最大・最強の覇権国に変えてしまったのは、そんなアメリカの特殊な才能によるところが大きいだろう。

話がやや脱線したが、今後の対テロ戦争の帰趨は、この単純さが凶と出るか、吉と出るかによるのではないか、なんてことをこの映画を観て感じました。しかし、米軍の扱いも相当ひどいが、あのパキスタンの若者たちも相当の若気の至りだ。生きて帰ってこれたのは、奇跡としか言いようがない・・・。

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