社会派」タグアーカイブ

マラソン・マン  Marathon Man

マラソン マン スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2010-10-08)
売り上げランキング: 12524


ニューヨークのセントラルパークの周りを毎日マラソンしている大学院生ベイブ(ダスティン・ホフマン)。そこに、ナチス残党のゼル(ローレンス・オリビエ)の魔の手が迫る。

ベイブとゼルの間には、一見なんの接点もないのだが、ベイブの兄ドク(ロイ・シャイダー)がある闇の仕事に関与していたため、ゼルに執拗に追われることになり、ついに…。

有名な歯医者のシーンが、とにかく怖い(痛い)。”Is it safe?”と、繰り返し聞きながら、ゼルはベイブの歯に歯科用電動ドリルを突き立てる。映画史上に残る怖い、痛いシーンだと思う。

ホラー的な見た目の怖さではなく、心理的な恐怖を煽る正統派で王道のサスペンス。ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディベイン、マルト・ケラーといった名優が脇を固める味わい深い秀作。

カプリコン1  Capricorn One

カプリコン・1 [DVD]
カプリコン・1 [DVD]

posted with amazlet at 10.12.05
東北新社 (2005-06-24)
売り上げランキング: 18227

一時期、アポロ11号による月着陸は、すべてハリウッドの巨大スタジオで撮影されたヤラセだったという主張が、「物証」とともに声高に語られたことがあった。NASAに当時の様子を録画したオリジナル・フィルムが残っていなかったことも、こうした主張に信憑性を増し加える一因となった。

本作は、人類の火星着陸という大事業を、米政府の一部がいろいろな大人の事情から、ヤラセででっち上げざるを得なくなった状況を描いた力作。家族に危害を加えると脅されながらヤラセを強要される3人の宇宙飛行士、ヤラセに気づいて消される末端のNASAエンジニア、宇宙開発の予算削減を食い止めるために、黙々とヤラセを遂行するNASAのエリート幹部、何も知らないホワイトハウス等々…、様々な視点から事態が克明に描かれていく。

3人の宇宙飛行士たちは、目に見えない巨大な力にどんどん追いつめられ、押しつぶされていく。そこで最後に取った行動は…。DVDのジャケットは安っぽいSF映画のイメージで困りますが、映画作品としては骨太の政治ドラマ。名作です

人気ブログランキングへ

シビル・アクション  A Civil Action

シビル・アクション [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン (2007-08-24)
売り上げランキング: 46032


ジョン・トラボルタ主演の裁判物。トラボルタというと、サタディ・ナイトフィーバーの印象が強烈というのは、年のせいか。しかし、トラボルタも年齢を重ね、こういう作品も全く違和感がなく、よく似合う。

環境問題に関する訴訟映画で、大企業・対・一般市民という構図、弱い者いじめが一転して、意外なストーリー展開を見せるというのは、結構馴染みのストーリー。エリン・ブロコビッチ、レインメーカーなどが頭に浮かぶ。

そうはいっても、この映画にはこの映画の良さがあった。派手さはないが、事態が大きく展開していくプロットは、実話ならではのリアリティ。脇役を固めるロバート・デュバルもいい味を出している。

人気ブログランキングへ

ザ・バンク 堕ちた巨像  The International

ザ・バンク 堕ちた巨像 コレクターズ・エディション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2010-09-03)
売り上げランキング: 4243


国際金融機関の底なし沼のような巨悪を描いた力作。 ― とは言っても、こういう映画は、いかにもスケールが大きくてビックリという期待もあるかもしれないが、本当は現実の方が映画を遥かに上回っている。

この映画では、IBBCという国際金融機関が出てくるが、現実にはかつてBCCI(Bank of Credit and Commerce International)というそっくりな業態の銀行があった。BCCIは似たようなスキャンダル(イラン・コントラ事件)が明るみに出て大騒ぎになり、当時のホワイトハウス中枢にまで捜査の手が伸びた。何人かの現職・元職の閣僚が刑事告訴され、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領の足元にまで捜査が及んだ。本作は、そこまでの次元にまで話を広げていない。たぶんそこまでやったら、かえってストーリーが嘘くさくなるから、やめたのかもしれない。

このように、はっきり言って、映画としては抑制が効きすぎており、迫力はあまりない。しかし、途中で出てくるニューヨークのグッゲンハイム美術館での銃撃戦は圧巻。ニューヨークに観光とかで行ったことのある人なら、あのデンデン虫のような特徴のある建物に行ったことがあるかもしれないが、本作では激しい銃撃戦で、美しい内部が蜂の巣だらけ。シャンデリアも全壊。どうやって撮ったのだろう。一部CGかな(※)?

クライブ・オーウェンとナオミ・ワッツが好演。元シュタージ(東独の秘密警察)のお爺さんの独白も妙に耳に残る。映画として、微妙に現実の事件と話を絡めながら、もっとリアリティを出してほしかった。しかし、それができないほど、BCCI事件というのはヤバイ事件だったのかも。

※後日よく調べたら、これはグッゲンハイム美術館の実物大のセットを作って撮影したとのこと。こういうところが、ハリウッドは発想が違う。悪いけど、日本映画にはない発想という気がします・・・。

人気ブログランキングへ

ミッシング  Missing

ミッシング [DVD]
ミッシング [DVD]

posted with amazlet at 13.11.03
ジェネオン・ユニバーサル (2012-05-09)
売り上げランキング: 35,555


1973年、チャールズ・ホーマンというアメリカ人の若手ジャーナリストが、南米チリでの滞在を妻や友人とともに楽しんでいた。そこを、突然の軍事クーデターが襲う。チャールズは失踪し、家族と米国政府による慎重な捜索が始まった。結果は、誰もの想像を超えるものだった…。

本作はそんな本当に起きた話を映画化した作品。非常にショックな内容。観た後、背筋の凍るようなイヤ~な感覚がしばらく残る。全身から力が抜けていくような虚しさが残る。しかし同時に観てよかったとも思う。非常に見応えのある完成度の高い作品だ。

自分はバブル時代に学生時代をすごし、当時はいろんな途上国にも遊びに行った。そして、その後も仕事で途上国へ行くこともあり、それなりに危ないこともあった。しかし、今となっては楽しい思い出ばかりであり、今の若い人の中にも、好んで途上国や紛争国へ行く人がいるが、そういう人たちの気持ちもよく分かる。

しかし、ああいうところに行くには、一定のリスクが伴う。近年でも、イラクやアフガニスタンで、バックパッカーやNGO職員の若者が犠牲になったが、ああいうことは決して特別なことではない。ああいうことは、絶対に起きてはいけないことだが、途上国や途上国では、残念ながらいつでも起きる可能性があることでもある。

この映画は、そういう途上国、紛争国の一面を、静かな恐怖とともに伝えている。特に、最後の方で米国大使館の駐在武官が、チャールズの父に語る例えはとても教訓に満ちている(どういう内容かは、ぜい映画を観てください)。― 途上国、紛争国へ行くな、ということではない。しかし、そういう場所がどういうところかを、事前に了承した上で行く必要があるということだろう。

父親を演じるジャック・レモンが涙を誘う。主人公の妻役のシシー・スペイセックも切ない。ヴァンゲリスの音楽も、とてつもなく悲しい。 ― 悲しく、恐ろしく、そして重い映画である。そして、隠れた名作だと思う(※全く同名の映画がありますが、こちらはジャック・レモン出演、コスタ・ガブラス監督の作品です)。

人気ブログランキングへ