ベトナム戦争」タグアーカイブ

ニクソン NIXON

ニクソン [DVD]
ニクソン [DVD]

posted with amazlet at 10.12.25
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2004-09-15)
売り上げランキング: 11712


リチャード・ニクソン大統領は、ベトナム戦争を終わらせ、中華人民共和国との国交を樹立したといった大きな功績を残した大統領だったが、おそらく米国史上で最も人気がなく、最も惨めな辞め方をした大統領の一人として記憶されているのではないかと思う。本作は、そのニクソンの伝記映画。

ニクソン自身に人気がなかったから、本作はたぶん同じオリバー・ストーンが監督した「JFK」などに比べても、大変知名度が低い。しかし、映画としての完成度は高いように感じた。とくにニクソンの内面的な個人的苦悩を非常に丁寧に描いている。

苦労人気質、田舎者気質が抜けないので、東部のエスタブリッシュメントに受け入れられない。人との関わり方が分からないので、多くの敵を作り、ついつい孤立してしまい、薄暗い秘密主義や陰謀の世界を自ら作り上げてしまう。そして、ついには自ら破滅への坂道を転げ落ちていく・・・といった経過を丁寧に描いている。

印象的なのは、辞任を決意した直後、キッシンジャーとともに、神に祈るシーン。無神論者とみえるユダヤ人のキッシンジャーは、ニクソンに強く請われて一緒に祈るのだが、神に対して心情を吐露するニクソンをわきに、大いに困惑する。しかし、ニクソンは子どものように泣きながら、自分がなぜ破滅したのか、どうすればよかったのか、切々と神に訴え、問いかける。

アメリカの大統領は、米国だけでなく、世界の政治経済を左右する権力を一手に握っている。だから当然、そこには無数の人の欲望や思惑がうごめき、互いに利用し、利用されるようなドロドロの暗闘が繰り広げられる。しかし、誰もがニクソンのような末路をたどるわけではない。なぜニクソンは破滅したのか、他人事ではない教訓を得られる映画でもある。

人気ブログランキングへ

ディア・ハンター  The Deer Hunter

ディア・ハンター [DVD]
ディア・ハンター [DVD]

posted with amazlet at 13.11.03
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン (2007-06-14)
売り上げランキング: 20,652


ディア・ハンター、鹿の狩人、である。要所要所で鹿狩りのシーンが出てくる。しかし、この映画はとてもメッセージを汲み取りにくい映画である。

有名な映画なので荒筋は省くが、この鹿狩りでの「One shot, One kill」という言葉が、後に出てくるベトナムでのロシアン・ルーレットのシーンと絡んでいるのは分かる。しかし、これは何を意味するのだろうか。

紅一点のメリル・ストリープが美しく可憐。クリストファー・ウォーケンの鬼気迫る演技も秀逸。ジョン・サベージも入院中のときの心身ともに憔悴しきった演技がリアル。ロバート・デニーロ、言うことなし。故ジョン・カザール、ピストルをもてあそんでいてデニーロに怒られてヘコむシーンが○。

あとアクセルという名前で出てくる巨漢の男は、製鉄所で実際に働いていた男性を、撮影現場で話していて気が合ったというだけでリクルートして、出演させてしまったらしい。つまり、素人。しかし信じられないほど、これらの超名優たちに溶け込んでいて、違和感が全くないのはスゴイ。

ベトナム戦争映画として、北ベトナム軍をいたずらに残虐に描いている、米軍の残虐性を描いていないという批判が多い。確かにその通り。北ベトナム軍やサイゴンのその筋の者が、あんなロシアン・ルーレットをやっていたという確証はなく、ただの脚色だという話も聞く。そういう意味では、真面目に見る人にとっては、ミスリーディングなところはある。

しかし、それはさて置いても、マイケル・チミノ監督は、この映画で何を語りたかったのか。いろいろ資料を見ても分からない。ただし、一回見ると、脳裏に焼き付いて忘れられない映画であることは確か。音楽も、しばらく頭の中で鳴り続ける。

人気ブログランキングへ

大統領の陰謀   All the President’s Men

大統領の陰謀 スペシャル・エディション [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ (2006-05-12)
売り上げランキング: 40838


ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件(1972年)が主題。実際にこの政治スキャンダルを暴いたワシントン・ポスト紙の二人の記者を主人公に据えて、事件の発端から結末に至るまでを史実に忠実に描いている。

本作の優れた点は、あえて善玉、悪玉を色分けせず、文字通り史実に忠実に、事件のあらましを冷静に描いているところ。大物から小物に至るまで、事件関係者が本名のままで登場しているところもリアリティを増し加えている。

このように、リアリティを追求した作りになっている一方で、映画として実に見応えのある味わい深い作品に仕上がっている。それは、ひとえに監督、脚本、キャスト(R.レッドフォード、D.ホフマンほか)の力量なのかもしれない。

ウォーターゲート事件について知ると、他の政治スキャンダルが色あせて見える。それほど大変な事件でした。

人気ブログランキングへ