投稿者「ひつじ」のアーカイブ

ソルト  SALT

ソルト デラックス・ディレクターズ・コレクション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2011-04-22)
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主人公イブリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、ソ連育ちのアメリカ人。石油開発会社の社員を装ったCIAのスパイで、北朝鮮での長い拷問に耐えた末、アメリカへの忠誠心を認められた筋金入りのエージェント。

この映画をナメてはいけない。ドンデン返しに次ぐドンデン返し。ここがオチだと思ってみていると、実は次の展開がある。まるで、ロシアのマトリョーシカのような作品。最初のイメージを信じていると裏切られ、次の固定観念が現れる。そして、そのイメージを元に見ていると、さらにそれが嘘で、次の展開が現れ…、といった繰り返しで、誰を信じればよいのか、何を信じれば良いのか、分からなくなる。

それにしても、アンジェリーナ・ジョリーは、よく頑張った。もともと、トム・クルーズをキャスティングしてキャンセルになったといういわくつきの作品。どこまでスタントで、どこまで本人がやっているのかという興味も湧く。何度も見たくなる、凝った構成も魅力。

96時間  Taken

96時間 [DVD]
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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2012-12-19)
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元CIA諜報員のブライアン(リーアム・ニーソン)は、離婚後、大金持ちと結婚した妻に親権を取られ、17歳の娘とも自由に会えない悶々とした日々を過ごしていた。そんなある日、娘が女友達とパリに旅行にいくと言い出す。

職業柄、イヤな予感がしたために娘を止めようとするが、妻にたしなめられ、娘の強い希望もあり、パリ行きをしぶしぶ認める。しかし予感は的中し、娘と友人は、パリを根城にする人身売買に手を染める東欧マフィアに拉致されて・・・。

元諜報員のブライアンは、その専門技能を活かし、これでもかとばかり、東欧マフィアの面々をボコボコにして、娘のもとへ一歩一歩と近づいていく。この徹底したボコボコぶりが、世の中の不条理に耐えて生きる普通の大人たちに、何とも言えないカタルシスをもたらすかも。

主演のリーアム・ニーソンがいい味を出している。脚本はリュック・ベッソン。どうりで、ストーリー展開にスピード感があると思いました。

グリーン・ゾーン  Green Zone

グリーン・ゾーン [DVD]
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ジェネオン・ユニバーサル (2012-04-13)
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「グリーン・ゾーン」とは、イラクの首都バグダッド中心部にある米軍本部とイラク政府の中枢が集まる安全地帯のこと。本作は、グリーンゾーンの中で渦巻く政治と、最前線で大量破壊兵器の捜索に当たる米軍将校(マット・デイモン)の対決を描くポリティカル・サスペンス。

イラク戦争の大義は、フセイン政権による大量破壊兵器(実質的に核兵器)の開発を止めさせるという点にあった。しかし、探せど探せど、そんな形跡は見当たらない。今でこそ、ブッシュ政権は、目障りなフセイン政権を除去する目的で、大量破壊兵器という介入の言い訳を、半ばでっちあげて開戦に踏み切ったことは周知の事実だが、誰も当時はそんなことは知らなかった。

本作では、通常の軍の指揮系統の中に、CIAや国防総省の幹部が良くも悪くも深く介入してきて、戦争政策を様々に軌道修正、もしくはねじ曲げていく様子が描かれている。そんな様子は、報道で漏れ伝わってくるイラク戦争の実態と妙に一致していてリアリティを感じさせる。

本作は、銃をドンパチ撃ち合うアクションというよりも、戦争の方針を巡り、激しい綱引きを繰り広げる軍やCIA、国防省幹部の心理戦を描くサスペンス。だからこそ、見ごたえのある作品に仕上がっている。

正義の行方  Crossing Over

正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官 [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン (2010-06-02)
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アメリカの移民問題がテーマ。移民取締局のエージェントを、ハリソン・フォードが演じている。アクションものと思って見たが、実際は米国の違法移民の悲哀を描いた純然たるヒューマン・ドラマ。

言うまでもなく、アメリカは建国以来ずっと移民国家だが、全世界から無制限に移民を受け入れているわけではない。当然のことながら国内法で移民に関する規定を設け、一定条件を満たした人だけ、自国民に帰化させる手続きを取っている。

しかし、アメリカの経済力、政治的な自由は、全世界から困窮した人々を惹き付けてやまない。そのため、違法移民の問題が常態化しており、どの違法移民を取締り、どの違法移民に目をつぶるかというレベルにまで、許容範囲がズルズルに広がっている。

国籍や市民権を得るのに、ここまでするのかというエピソードが目白押し。胸が悪くなるエピソードもたくさん出てくるが、自分の友人にも苦労してアメリカ人になったアジア系の友人がおり、こういう話は多分本当だろうというリアリティが漂っている。

ハート・ロッカー  HURT LOCKER

ハート・ロッカー (期間限定価格版) [DVD]
ポニーキャニオン (2013-02-02)
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最近、イラク戦争やアフガン戦争を描いた作品が続々と出てきている。これまで戦争映画というと、第二次世界大戦、ベトナム戦争を描いたものが圧倒的に多く、戦争と言えば、大規模な陸海戦、ジメジメしたジャングルの戦いというイメージが強かった。

しかし、こういう最近の戦争を描いた作品を見ると、現代の戦争は基本的に市街戦で、ハンビーのような装甲車で、路地の中を走り回って戦うものだということがよくわかる。そういう意味で、こういう映画を観ると戦争のイメージが変わる。

本作は、イラクで活動する爆弾処理班の活動を描いた作品。イラクやアフガニスタンでは、銃撃戦などよりも、遠隔操作による路肩爆弾(IED)による死傷者が圧倒的に多いという。そういう意味でも、この作品を見ると、現在進行中の戦争がどういうものかよく分かる。

監督は、本作でアカデミー賞をとったキャサリン・ビグロー。女性が監督したという女性特有の視線は感じられない。むしろ、一つの戦争映画として、ドライで硬質な感性を感じさせる秀作となった。