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チャーリー・ウィルソンズ・ウォー   Charlie Wilson’s War

チャーリー・ウィルソンズ・ウォー [DVD]
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1980年代のアフガン紛争に対するアメリカの介入を描いた作品。1980年代、ソ連は、アフガン内戦に介入して傀儡政権を樹立した。米ソ冷戦の下、この動きに対抗して米国は反政府のイスラム過激派(ムジャヒディン)を支援して、親ソ連派政府を打倒、ソ連のアフガン撤退を促し、ソ連崩壊の遠因を作った。本作は、この米国のアフガン介入のプロセスを描いている。

ちょっと調べたら、ウィルソン議員だけでなく、テキサスの女性フィクサー、CIAのケース・オフィサーも、そのまま本名で作品化されていることを知った。フィリップ・セイモア・ホフマン演じるCIAスタッフ以外、まだ存命なので、さぞ居心地が悪いだろうという気がするが、余計なお世話か。

議会やCIA、米政界関係者の日常を描くなかで、彼らの持つ独特の高慢と狂気を、その言動・行動の中にうっすらと浮かび上がらせている。日常のおしゃべりの中で、数億円の拠出や、数万人の人命の帰趨がポンポンと決まっていくのだが、こういう様子をコメディ・タッチで描きながら、彼らの行動がどこか異様で歪んでいることが、観ている側に伝わってくる。

終盤では、アメリカが支援したムジャヘディンが、20年後にアルカイダの一部となってアメリカに刃を向き、2001年のテロを引き起こしたことを、禅問答のたとえで示している。いまアメリカは、この支援のつけを、延々と払わされ、苦しみ抜いている。なんとも皮肉な話である。

映画としても、なかなかよく出来ている。人物描写が丁寧で、単純な描き方に終わっていない。誰もが持つ人格の多面性や矛盾を、さりげなく描いている。爽やかなアメリカの民主主義の背後に潜む狂気を、正面から批判することなく、変化球でさりげなく描いている点も秀逸。

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さんびゃく、じゃありません。スリー・ハンドレッドです。紀元前480年、レオニダス率いるスパルタの精鋭300名が、アケメネス朝ペルシアの数万の大軍に体当たり勝負した「テルモピュライの戦い」を描いた作品。

当時のペルシアがいかにすごかったかというのは、中東のほぼ全域から南ロシア、インド西部までを版図に治めていたことからも分かる。本作でも、そのクセルクセス王を、化け物のように恐ろしげに描いていることから、その強大さが伝わってくる。また、当時のスパルタの強烈なカルチャーを、分かりやすくデフォルメして描いている点も、本作の特徴。

思えば、ペルシアとはイランである。日本人一般にとって、イランは中東の一国かもしれないが、欧米社会にとっては未だ脅威の国。とくに米国にとっては、イランで核ミサイルが稼動すれば、同盟国のNATO諸国や、イスラエルが射程に入るため、北朝鮮などよりもはるかに重要度の高い外交案件となっている。欧米人にとって、「テルモピュライの戦い」は、いまだ続く因縁の闘いなのかもしれない。

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ホテル・ルワンダ   Hotel Rwanda

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1994年の春、ルワンダで大虐殺が起きたとき、ヨーロッパではボスニア紛争、アフリカではソマリア紛争が同時並行的に起きていた。国際社会は、ボスニア紛争で資金とエネルギーを吸い取られ、ソマリア紛争で米軍兵士が虐殺されるのを目の当たりにして恐れをなし、ルワンダの惨状を見て見ぬふりをして、結果的に見捨ててしまった。

国際社会がルワンダを見捨てたことは、この映画の中心的テーマの一つであり、それでこの点に怒りを覚える人も少なくないかもしれない。しかし、人間は倫理感よりも欲望で動く存在であり、また自分の命を犠牲にして他人を救う能力など、誰も持っていない。このことは、戦争に行ったことがある人や、紛争国などで身に危険が迫る経験をした人など、似た体験をした人はよく知っているだろう。

その意味で、この映画の描きたかった真のポイントは、国際社会や白人はケシカランということではなく、人間というのは弱い存在だ、だからそのことを忘れて高ぶってはならないという高慢に対する警告だろう。その意味で、本作は観る人すべての心を突き刺す作品でもある。

ルワンダ虐殺を誠実に伝える映画としても優れているが、人間というものの弱さ、はかなさをリアルに描いている点でも秀逸。ドン・チードルが死体累々の中を這いずり回って帰宅した後、着替えをするなか、ネクタイを締めながら崩れて落ちてしまうシーンは心を打つ。

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