月別アーカイブ: 2009年7月

チェ 39歳別れの手紙  Che: Part Two

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チェ・ゲバラのボリビアでの活動を描いた第二編。ゲバラはキューバでの革命をカストロとともに成功に導き、キューバの閣僚として、新生国家の発展に辣腕をふるった。しかしその後まもなく、社会主義革命を世界に伝播するため、ラテンアメリカの最貧国の一つであるボリビアに渡った。

ボリビアでの活動は予想以上に厳しく、当時の親米政権による徹底的な掃討作戦の結果、山にこもったゲバラの一隊は米軍にトレーニングを受けた政府軍によってあぶりだされ、最終的には、ゲバラをはじめとする残党は、政府軍によって処刑される。本作はそこに至る経緯を描いている。

ゲバラのボリビアでの活動については、ゲバラ本人による日記(「チェ・ゲバラ伝」として邦訳もある)に詳しい。このゲバラ日記を読んだときにも感じたが、ゲバラを追い詰めるボリビア政府軍と、背後にいるアメリカの特殊部隊の執念が凄まじい。本作も、その恐ろしいまでの執念深さを克明に描いている。

しかし、ゲバラは処刑の直前、神でなく、人間を信じていると言った。ここにすべての敗因が凝縮されているように感じた。ここで多くは語るまい。しかし、こうした人生観が敗北を招いたといったら酷だろうか・・・。

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バンク・ジョブ  The Bank Job

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バンク・ジョブ、銀行の仕事、いや、銀行強盗という意味です。それも、この映画では、ただの銀行強盗ではない、1971年にロンドンで実際に起きた巨額の銀行強盗を描いている。

この銀行強盗事件が注目を浴びた理由は、強奪金額が全英一だったということだけでなく、政府の諜報機関が故意に仕掛けた銀行強盗だったということ。なんで政府機関がチンピラを使って銀行強盗を引き起こしたかというと、その金庫に王室のスキャンダルを押さえた証拠写真が隠されていたからだった・・・。

前半は、腐った英国の裏社会を見せつけられて気分が悪くなるが、後半から力強いストーリー構成で、観る者をグイグイと惹き付ける。英国の役者陣も演技派が多く、飽きさせない。また英語の好きな人にとっては、イギリス英語の勉強にもなるだろう。

実話をモチーフにした映画は、実話ならではの地味さに負けてしまっているケースも多いが、これは実話ならではの迫力を映像化することに成功したケースと言えるだろう。実話ならではのストーリーの奥行きと複雑さを、上手に映像化しているように感じました。

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ゴッドファーザー パートII  Godfather Part II

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映画のシリーズ物は、続作が初回作を超えることはほとんどないことを日頃から感じている。これは、ロッキー、スターウォーズ、ターミネーター等々の有名どころを考えても、例を挙げればキリがない。

その理由を一言で言うと、初回ならではの衝撃を、同じコンセプトを利用する続作が超えることができないからだと(勝手に)思っている。しかし、このゴッドファーザーについて言うと、パート2は初回作と同等のクオリティを保っていると同時に、初回作と違うオリジナリティを発揮しているように思う。

パート2が大きなインパクトを持っている一つの理由は、若き日のドン・ヴィト・コルレオーネを演じるロバート・デニーロの存在。もともと真っ当に生きていこうとしていた真面目なヴィトだったが、イタリア移民を取り巻く環境はあまりに過酷、不条理だった。そのため、本人の意志と関係なく、マフィアを形成するように押し出されていった状況を、デニーロが極めて抑制的に演じている。

もうひとつの要素は、複雑なストーリーがもたらした映画としての面白さ。初回作は、コルレオーネ・ファミリーの家族・親族の血の結束という一点に、ストーリーの力点が置かれていたが、このパート2は、それに加えて、ファミリーの国際的な事業展開や、ファミリーと政府当局の対決など、ストーリーに奥行きが出るようなプロットがいくつか織り込まれている。

また、さらに言えば、初回作では、マーロン・ブランド演じる初代ドンが強烈な個性を放ち、この映画を一躍有名にしたわけだが、パート2では、アル・パチーノが演じる第2代ドン、マイケルがそれを超える強烈な個性を放っている。兄弟の中で、もっとも物静かで熟考型のマイケルが、有能で冷酷なマフィアのドンに変貌していくプロセスが観る者を惹き込む。

シリーズ全体に一貫して流れているテーマは、人間の心の闇ということか。人間の心は、いったん悪い方へ傾くと、どんどん悪い方向へ転げ落ちていってしまい、なかなかそこから抜け出せなくなる。憎しみが憎しみを生み、復讐が復讐を生み、この悪循環を誰も止めることができなくなってしまう。そういう意味で、このシリーズ作品は、マフィアの実態を描いた映画というよりも、人間の実態の一側面を描いた秀作なのだと思う。

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ゴッドファーザー  Godfather

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いまさら何の説明もいらない名作。何度も観ているが、観るたびにこういう映画は、多分もう出てこないだろうという気がする。ストーリー構成、登場人物、風景と時代背景・・・、ここに描かれている全てが圧倒的な存在感を醸し出している。

一方、映画のテーマは、憎悪と欲望である。たしかに、イタリアン・マフィアを道化として使っているが、その背後にある真のテーマは、憎悪や欲望といった人間の本能から湧き出る激情である。誰でも怒りや憎しみに駆られることはある。しかし、そうした激情に流されていると人生がこんなふうになりますよ、ということを提示しているという見方さえできる。

公開から長い歳月が経っているのに、この作品がこれだけの輝きを放っている理由は、やはりこうした普遍的なテーマを扱っているからだと思う。マフィアの恐ろしさから、誰もが持っている人間の心の闇の部分を垣間見ることができる。「不朽の名作」という言葉が最も似合う作品。

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