ロード・オブ・ウォー   Lord Of War

ロード・オブ・ウォー [DVD]
日活 (2006-06-09)
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実在のロシアの武器商人をモデルにしたセミ・ノンフィクション。武器商人は「死の商人」とも呼ばれるが、世界中に無数の死をもたらしながら、自身はあまり危険に晒されることもなく、末長く武器を供給し続ける特異な存在だ。

戦争を裏で操る政治家でさえ、戦争の帰趨や選挙の洗礼で没落することがあるが、武器商人はあまりそういう世の浮き沈みと関係なく、一定の繁栄を維持し続けることが多い。本作は、そんな世の中の知られざる一面にスポットを当てている。

平和で豊かな先進国に生まれ育った者にとって、武器商人のように戦争を裏で推進する人々、兵士のように戦争を実際に戦う人々、そして政治家のように戦争を操る人々の気持ちを理解することは難しい。また、そんな人々を非難する気持ちさえ湧き上がってくることもあるだろう。

しかし、人の心には、自分の利益を常に優先するエゴイズムや、自分の利益が不当に侵害されたときに爆発する闘争本能があり、それらの心理条件が、一定の環境に置かれれば、間違いなくほとんどの人は、勢いで戦争に加担してしまうだろうという気がする。そういう意味で、人が戦争に加担するかどうかは、その人が善人か悪人かではなく、生まれ育った外部環境ではないかという気がする。

ニコラス・ケイジ演じるユーリは、家電製品を売るように、ごく普通の感覚でマシンガンやライフルを売りさばく。家電製品のセールスマンが、客に冷蔵庫を売るべきかどうか悩まないのと同じように、ユーリもマシンガンを売るべきかどうか悩むことはない。ふつうのビジネスとして、淡々と処理する。家に帰れば、妻と子ども愛する普通の家庭人だ。

おそらく武器商人たちは、自分のことを普通のビジネスマンだと本気で思っているのかもしれない。そんな普通でない感覚が、武器商人が映画のモチーフとして成立した理由だろう。冒頭では、武器商人を取り巻く社会的背景もきちんと説明しており、分かりやすい作品となっている。

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