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タイタンズを忘れない  Remember the Titans

タイタンズを忘れない 特別版 [DVD]
ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント (2005-12-21)
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アメリカで、人種問題が法的・形式的に解決されたのは1960年代のことで、そんなに昔のことではない。ましてや実質的な意味では、アメリカで人種問題は未だ現在進行形の問題として捉えられており、オバマのような人が大統領になった今でも、すでに解決したなどと思っている人はおそらくいないだろう。

本作は、1970年代初頭に、人種間の融和を目指して、地域の教育政策の一環として、半ば強制的に白人と黒人の人種混合のアメリカン・フットボール・チームを創設し、そこに白人の監督を差し置く形で、黒人の監督を着任させたという実話に基づく作品である。チームが人種間の融和を目指す中で、小さな融和と対立を繰り返しながら、緩やかに大きな融和のうねりへと向かっていく様子が、丁寧に描かれている。

日本人の多くにとって、アメリカで白人と黒人が一緒にやっていくことがどれだけ大変なことか、あまりピンと来ないかもしれない。しかし、日本でも、在日の人や外国人に対する偏狭な考え方が、社会の一部に見られるように、こういう民族や人種の問題を克服するのは、時として困難なこともある。

ましてや、白人と黒人というのは、まず外見がはっきり違うし、歴史上のルーツとしても奴隷制度という大きな汚点がある。そういういことを考え合わせると、彼らが一緒にやっていくのは、想像以上に大変なことだということがよく分かる。本作は、その辺の大変さを丁寧に、正直に描きこんでいる。

誰でも、自分と大きく違う人を受け入れ、一緒にやっていくのは難しい。しかし、自分と違う人を認め、受け入れることは、自分が他者に受け入れてもらい、社会の中で孤立せず融和して生きていく上でも不可欠だ。

人種問題というのは、外見の違いが目に見えるから、ある意味分かりやすいが、自分と違う人を受け入れることは、人種の同異を問わず大事なことだと改めて感じました。

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コーチ・カーター Coach Carter

コーチ・カーター スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン (2006-09-08)
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バスケットボールの元スター選手、カーター(サミュエル・L・ジャクソン)が地元高校バスケ部のコーチを頼まれる。スパルタ式トレーニングの効果が間もなく現れ、平凡なチームは地区の強豪にのし上がる。しかし、選手たちの学業成績はそれと反比例するように下降線をたどった。

コーチ・カーターは、選手を学業に専念させるため、心を鬼にして練習場の体育館を閉鎖する。カーターと選手、保護者、学校側の対立が一気に噴出、カーターは窮地に立たされる・・・。これが本作の中盤までの筋書きだが、ストーリーはすべて実話に基づいている。

スポーツ選手のように、若いときにピークを迎えるキャリアを選んだ人の人生は、想像以上に大変だ。一般の人が味わうことができない成功を手にするが、その後の人生は、ある意味で、頂点からひたすら下降線をたどる人生である。

ましてや学業をしっかり修められなかった場合、ふつうの職業にさえ就くことができない場合もある。たまに、監督や解説者のような形で、その後も上昇気流に乗り続ける人もいるが、そういう人は数少ない例外と言えるだろう。

さらに、本作で描かれている状況で言えば、アメリカのインナー・シティーの環境は、若者にとって大変苛酷な環境だ。一瞬の気の緩みで、あらゆる悪事に引き込まれ、一生を台無しにされる。コーチ・カーターは、これらのことをよく分かっていたからこそ、涙を飲んで体育館をロックアウトしたのだろう・・・。

スポ根ものは、とかくストーリーが単純になりすぎる傾向にあるが、本作は実話をベースにしているだけあって、ここぞという場面で、現実ならではの複雑な展開を見せる。それがまた見る人に感銘を与える。登場人物の心理描写も細かく丁寧。それでまた引き込まれる。

たしかに、スポ根、青春ものではある。しかし、そういうカテゴリーを超えた秀作。何歳の人が見ても、深い感銘を受けるだろう。

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