日別アーカイブ: 2011年2月11日

ザ・ウォーカー  The Book of Eli

ザ・ウォーカー [DVD]
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角川書店 (2011-06-24)
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まず、この映画の本質をつかむには、聖書を知っていないと難しいと感じた。ただ、聖書を知らなくても、この映画を観た後で聖書を読めば、全体の趣旨を理解できる仕掛けにもなっている。

欧米諸国では、誰もが子供の頃から聖書に頻繁に触れるので、ほとんどの人が聖書の内容を熟知している。それは、日本で「桃太郎」や「鶴の恩返し」などの昔話を、子供の頃から聞いているから、誰もがこうした昔話のあらすじを常識として知っているのと似ている。

欧米では、創世記からヨハネの黙示録に至る聖書の内容を、誰もが常識として知っている。映画に出てくる聖書の引用箇所も、常識として知っている。だから、この映画の本質も、何の努力もなく理解できるだろう。そこへいくと、多くの日本人にとって、この映画は、近未来SFのように映るかも知れない。

本作の舞台は、この世が破滅した後の終末後の世界。聖書には、終末のことも具体的に書かれているから、欧米人にとってこの設定はSFではなく、現実的な設定として映るだろう。

そんな荒涼とした大地を、イーライ(デンゼル・ワシントン)という男が、この世に一冊だけ残された聖書を、アメリカ大陸を西に向かって黙々と運んでいる状況が描かれる。イーライは、自分の意志というよりも、心の声に従って聖書を西に向かって運んでいる。

そこへ、イーライのミッションを邪魔するカーネギー(ゲイリー・オールドマン)という男が現れる。カーネギーは、終末後の世界の一集落を仕切る有力者。聖書の本質を知っているが、聖書の力を利用して、自分の権勢欲を満たそうと、イーライの聖書を強奪しようと試みる。

こんな設定も、欧米の多くの人達は、聖書の知識を自分の欲望を満たすために利用することの怖さと、ほんとうの意味で聖書を知ることの違いを体験的に知っているから、直観的にイーライとカーネギーの位置づけを把握することができるように思う。

…というわけで、この映画は聖書を知っていないと解釈が難しい。ただ、この映画を観た後で、聖書を読んで、その本質をつかむという順番でも良いと思います。非常に奥の深い映画です。