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元アメリカ副大統領、元アメリカ大統領候補のアル・ゴア氏は、昔から地球温暖化問題の専門家として有名だった。そのゴア氏が行った温暖化に関するプレゼンを収めた映画である。観た人の多くが認めている通り、この人は実にプレゼンが巧く、プレゼンの良い勉強になる。
一方、ここで語られる話が本当に「真実」かというと、それはまた別の話だろう。ふつう真実というのは、一般的には、1%のウソもない100%純粋に本当の話をいう。そういう意味で、ここでゴア氏が語っている話が真実かどうかというと、簡単にそうとは言い切れない。
かつて前大統領のブッシュ氏と、ゴア氏が米大統領選で激突した際、ブッシュ陣営は、様々な「科学」的論拠をベースにして、ゴア氏の説く温暖化問題、ひいては温暖化の論点一般を徹底的に否定し、骨抜きにすることを試みた。当時はこうしたアンチ温暖化の著作がいくつか邦訳されて、日本の書店にもたくさん並んでいた。その後、ブッシュ氏は政権を握り、その独自の「科学的論拠」を利用して、京都議定書の発効に向けての世界的な温暖化防止の動きを阻止しようと全力を尽くした。
ブッシュ前大統領が、なぜこれほどまでにアンチ温暖化の立場を貫いたかというのは明白だ。彼が、石油の利権を利用して、政治家として上り詰めた人物だからである。もともとファミリーも本人も石油採掘会社を長く経営してきたし、石油が潤沢に埋蔵・採掘されるテキサス州知事だったし、そこに政治的基盤があった人なのである。そういう意味で、ブッシュ氏は実に分かりやすい人物であった。
一方、温暖化防止を推進する政治家というのは、どこか良い人のようなニュアンスが漂うが、そこにはまた別の巨大な利権が存在する。温暖化防止を推進すると、結果的にどういうことになるかというと、太陽電池を作る電機メーカー、ハイブリッド車を作る自動車メーカー、原発の利権関係者などに、どっと大金がなだれ込む。こういうところに関与する政治家やビジネスマンは、果たして善意のボランティア精神で温暖化防止を推進しているのだろうか。
おそらくゴア氏の最大の弱みは、政治家、それも民主党の重鎮といった巨大権力者であることだろう。そういうパワーゲームの中心にいる人が、純粋に自分の信念だけで、ここまでできるのだろうか。 ― もしかしたら、ゴア氏はそういうマジックのようなことができる卓越した人物なのかもしれない。またゴア氏のプレゼンの内容も、果てしなく真実に近いものなのかもしれない。しかし、ゴア氏の政治的権力はあまりに巨大で、そういうものを疑わせてしまう反作用の力として働いている。
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