グッド・シェパード   The Good Shepherd

グッド・シェパード [DVD]
ジェネオン・ユニバーサル (2012-05-09)
売り上げランキング: 7,526


CIAの創設経緯、初期の活動を、なかば事実に基づいて描いた作品。主人公ウィルソンは、実在のCIA幹部をモデルにしているという。CIAが実際に行った秘密工作なども描かれている。

グッド・シェパードとは、もともと聖書の言葉で「良き牧者」の意味。聖書では、方向感覚のない羊を人間にたとえ、神としてのイエス・キリストを羊を導く牧者にたとえる表現がたくさん出てくる。

本作では、CIAが自身を「グッド・シェパード」として捉えていたことを描いているのだが、これはかなり倒錯した捉え方。なぜなら、本当の「良き牧者」は、聖書にあるとおり、人を救うために自ら命を捨てるが、CIAは人の命を奪うから。CIAは、敵性国家の国民のみならず、自国民の生命さえも奪ってきた。

本作を観ていると、CIAの中に、そういう勘違いや高慢、倒錯した価値観が、創設当時から深く浸透していたことが良く分かる。関係者がすべて、神ではなく、秘密結社の信条を信奉していること、主人公の家庭が完全に崩壊していることなどに、そういう歪んだ価値観の表出が見て取れる。

遠い外国で、自国を陥れる陰謀が画策されていれば、そういう画策を潰そうとする誘惑に駆られるのは当然だ。とくに、それだけの力が実際にあれば、なおさらのことだ。しかし、そんな動機で行われた破壊工作が、他国との対立を先鋭化し、自国民を危険に陥れてきた。それがCIAの歴史ともいえる。

最近、対テロ戦争の背後で行われていたテロ容疑者への過酷な尋問について、CIAなどの関係者が議会証言を行った。そこで興味深かったのは、そういう過酷な尋問は、米国の国益を増進するよりも、結果的に国益を毀損したと、CIA関係者自身が語っていた点。やはり、そうなのかという気がした。

人気ブログランキングへ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です